Samyang14mm は機能的には星空撮影にピッタリの機能しかなくて理想的なんですが、世間で言うほどの代物でないようです。 結論からすると:
F2.8と言ってますが、これで撮ると星の結像がひどく、当レンズでは明るい星は画面のどこでも、右下方向にヒゲガ出たような、よく四隅にコマ収差で見られるような星に写って、とても人に見せられるような画像にはなりません。
星像でいろいろ試してみたんですが、何とかみられるように使うには、絞りを1.5段絞って、大体F4.8程度の実力のレンズとみておいた方が良いようです。 分厚いレンズを使っていて、やたら重い! 高い買い物をしてしまった(・_・;)
発光ダイオードを疑似的な点光源と見立ててボケた画像を取ると、こんな風に、光軸がずれたとき見られる特有な、同心円が偏って写ります。
中央に写した疑似点光源を拡大して見た画像です。 同心円の中の黒い点はなんで写っているのか分かりません。
実際の星、この場合は木星を焦点をずらせて取ると、画面中央でも、どの隅でも、右下の方にヒゲガ出たように写ります。
このヒゲガ最後まで取れず、明るい星が写っていると右下に広がった星像になっています。
2014年4月24日撮影 EOSKissX4 新改造 Samyang14mm F2.8 ISO1600 60sec ポラリエでトラッキング
この程度の小さい画像では見えなくていいんですが、よく見ると、明るい星は一様に右下に広がったヒゲガ出て星像を乱しています。
拡大するとこんなになっています。 画面全体でこのようになっています。
以上の実力を知ったうえで、何とかみられる画像にするため、ソフトフィルターを挟んで星をぼかして撮ってこの状態です。
2014年4月24日撮影 EOSKissX4新改造 Samyang14mm F2.8 ISO3200 60sec ソフトフィルターLee#2 とCLSフィルター使用
10枚をDeepSkyStacker Flat処理などなし
中央下のやや右にかに座と、4つの星に囲まれたペルセペ星団がぼやけたように写っています。中央やや左にしし座の星々が見えます。 右下のカラマツに隠れて、ふたご座と木星が沈んでしまってます。 フラット画像を撮ってないので、かなり周辺の減光が激しくなっています。 今回はひどい星像をどお隠すかでフラットどころでなく、用意し忘れしたんですね。
同じところを切り出してみて、星像の乱れが目立たなくなったかどうか、かなり疑問ですね。 ソフトフィルターでかなりボケたんですが、deepskystackerで淡い光の所が出てきたんで、明るい星は良くなったんですが、小さな星の方は右下に出る淡いところが浮き出てしまって、そのあたりは拡大するとかえって悪化しています。
一番上の同心円の画像をよく見ると、一番外側のリングとそれ以外の内側のリングの偏心の仕方が違うように見えます。 絞りを一段絞ると一番外側の円が消えて、2番目の明るいリングが一番外側になります。 偏心の度合いが減るんですね。 場合によっては、絞り機構の辺りのアライメントの不良か、そのあたりの筒面の不要反射が入り込む不良なのかもしれん。 手持ちのレンズや、キヤノンのショウルームで使わせて頂いたレンズでこんなのはありませんでした。
この後の調査で、F2.8を犠牲にして、1.5-2.0段絞ってどうやら見られそうなんで、今度満天の星の時にF4.8まで絞って撮ってみよう。 露出時間が3倍ぐらい必要なんでかなりのスペックダウンです。