2013年2月アーカイブ

 某社18-200mmズームレンズが修理から戻ってきたところで、星空を撮ってから驚かないように、あらかじめその限界について調べておくことにした。 修理はズームコントロールの広角側でのガタの調整と、コマ収差がひどいので可能であれば調整できないかという依頼で、ガタの方はしっかりと治った。コマの方は「認められず」と言うことで調整不可で戻った。

 木星を写して調べてみた。

 初めは光軸、焦点をずらして「同心円を見なさい」とあるので、中心に写して焦点をずらせてみた。望遠側は同心円で合格。しかし広角側でずれているのが見えた。画像は等倍にトリミング。 2013-02-18-250-18mside-008tr.JPG

 コマ収差は木星を4隅に移してその画像を等倍にトリミングしまたもです。

 下は18mm広角側の2枚です。

 2013-02-8-250-18msideUL-003tr.JPG  左上   2013-02-18-250-18msideUR-001tr.JPG  右上

下は200mmズーム側の4隅です。

 2013-02-18-250-200msideUL-011tr.JPG 左上    2013-02-18-250-200msideUR-010tr.JPG  右上

 2013-02-18-250-200msideLL-013tr.JPG 左下    2013-02-18-250-200msideLR-014tr.JPG  右下

  このレンズは広角側と望遠側で逆向きに尾が伸びるようです。 このレンズ、真ん中あたりで使うといいのかな。あるいは買ったばかりだけど、捨てちゃった方がいいのかな。

  

 

 

 

 

 まず、一眼レフ新改造デビュー

 7日、誠報社改めスターショップからEOSKissX4の「新改造」が戻ってきました。C-MOSセンサーの手前の光学フィルターをHα線まで通すものに替える改造で、電離した水素原子が発する赤く見える光を標準フィルターより10倍の感度が上がるようです。

 この改造で失われる機能はホワイトバランス。完全にマニュアルタイプになり、カメラに備わっている太陽光とか日蔭とかあるいはそれらを自動選択するホワイトバランス機能が使えなくなりました。改造と同時にマニュアルホワイトバランスが設定されて戻りました。これ、素人がやってもなかなかうまくいかないんですが、比較的広範囲の光の具合で使えそうですが、太陽光、日蔭などの選択ができないので手動で調整しなきゃいけないんですが、カメラの「WB補正/BKT設定」で微調整してもなかなかうまくいきませんでした。天体カメラにするのであきらめています。

 夜空を写しても、空が色づいて写ったり、適度に灰色のダークに映ったりで、なかなか定まりません。RAWで撮って処理することに徹しなければならないようです。

 

 ということで、星野らしきもの2題。「新改造とEF40mmF2.8STMパンケーキレンズ、AstronomikのEOS Clip CLS Filter、ナノトラッカー、それにSLIKの三脚とManfrottoの3軸ギア付雲台の計6点セット。タイマーシャッターを入れて超都心星空撮影7つ道具と言うべきか。

 一枚目はリオン座のベテルギウスから天空の方へふたご座の間、この日11日は薄雲もなく寒波で強風、月明かりも無いと撮影日より。2月8日のこともあるので、薄雲に反射する都会の光を嫌って、「新改造」にCLSフィルターを挟んで、40mmパンケーキレンズで撮ってみた。この日の標準感光は、f=2.8、iso=1600、露出5秒、30枚撮影とした。f=2.8、iso=1600に都心では5秒が限界。10秒でやれないことは無いが、、DeepSkyStackerの結果がこれです。

ori-gem1-40mcls0211ftbidstc.jpg

 フラットはうまくいったようですが、左下に都心の光がなんとなく入っている。よく見ると中央から左の方、左端から1/5あたりに星の固まりの周りが赤く染まている。他にもないかなとよく見ると、この小さい画像ではわからないが、中央より下の右の方に小さな丸く赤く染まったところがあるではないか(*^。^*) これは何だ?

 調べてみると左の方が世にいう「バラ星雲」であった。右の方がステラナビゲータV9から、NGC2175、2174モンキー星雲としておきましょうか。バラの方は確かです。超都心でこれらの痕跡が映ったのは「新改造」の成果か(^_^;)

 後日13日、250mmレンズで再挑戦してみたが、CLSフィルターなしで映し出すことはできなかった。Hαを通すCLSで可視光赤をカットする効果が絶大なのか?

 二枚目は、オリオン座。これは違いをアップするため1/2にトリミングしてある。

orion-2011-ftbidstctr-1.jpg

  赤い色がクリアに出ている。で、これ、三ツ星の左の星の上、実は影が出てるんです。これも「新改造」の成果のようだ。これは後日13日250mmでの撮影でも確認できました。

 13日に250mm、CLS無しでM42鳳凰の所を撮ったのがこれです。比較のためトリミングして拡大してます。

m42-250mx4-12ftbidstctr-21.jpg

 除夜の鐘をききながら撮った時よりも赤い羽根がひときわ大きく広げて見え、さらに上の方のNGC1973の色づきが認められるようになりました。中の大文字みたいなのはさすがにわかりません。私的には無改造の方が、赤一色になった鳳凰より好きです。

 「新改造」雑感
 オリオン大星雲なんかはやたら赤くなり、無改造より美観を損ねる。多分バラ星雲や、普通には見られない星雲なんかは大いに使うべし。
 淡いHα星雲はカメラに光が届いても、都心の光の反射で赤い可視光の中に埋没してしまうみたいで、CLSフィルターを併用する方がいいのかもしれない。光フィルターのスペクトラムを合わせてみると、長めの波長のところはHαの辺りだけ通す感じになるようだ。 新改造とこのフィルターの組み合わせは、Hαを含む640nぐらいから670nぐらいまでをフルに標準カメラより10倍ぐらい通すので、超都心の星空撮影にかなりいいんではないかと思う。

 

 備忘録:

NGC2237 バラ星雲 散光星雲 いっかくじゅう座(オリオン座の左隣り) 散開星団NGC2244の周りに広がる。

NGC1973 オリオン大星雲のすぐ三ツ星側にある散光星雲 (reflection nebula 反射星雲)。細かくはNGC1973、1975、1977からなる。

 

 2月8日は雪模様の翌日、震え上がるほどの寒波が来て、空が澄み渡る予想、しかもほぼ新月、この時を逃す手はない。オリオン大星雲、プレアデスときて、次のターゲットはヒアデス。しかも広角で星野写真といきたい。

 しかし観測時刻となると薄雲が出てくるんですね。この薄雲に都会の光が反射していて、カメラにおさめるとうす雲が浮き出てきて星を隠してしまうんです。AstronomikのEOSclip CLSフィルターを付けてみると少し程度が落ち着きます。DeepSkyStacker処理で薄雲が結構消えてくれました。細かい星を見ると大体9等星近くまで写りました。薄雲のせいで、フィルター付きでも40mmレンズで、iso1600、f/6.3、露出時間10秒がやっとでした。後の処理を考え露出5秒で、その分枚数を多く、かれこれ60枚撮りまくりました。この日もナノトラッカーは機嫌よく順調に動きました。ナノトラを三脚につけたままにしておいたので、そのまま定位置に置きなおしただけの無調整です。

 ダークフレームは撮り忘れ、翌日、カメラが夜気に触れ冷えたところで撮り直しました(・_・;)

 画像にすると星がこのレンズでシャープに映り、非常に小さな手点になって、拡大しないと見えないんです。それで画像処理で星を極端に強調し小さい画像でも見えるように処理しました。少しやりすぎてバックグランドがおかしくなって、端の方を少しトリミングしてあります。

taurus-ftbidstctr-1.jpg

 中央が木星ですが、薄雲と強調のせいでデカく写りすぎて、脇の衛星が呑み込まれてしまいました。木星の左の方に、おうし座のアルデバランが見えます。そのあたりのヒアデスの集団の端の辺りに小惑星のベスタがあるらしいのですが、木星とアルデバランを結んだ線の右上方向の辺り、どれだかわかりませんでした。右下方向にはプレアデスの塊が写りました。

 

 翌日1月の31日木曜日の日に、CLSフィルターを付けてプレアデス星団を撮ってみた。超都心でもこれだけ星空が撮れるんだというところを見せたかったんだけれども、結果、大して変わらない。フィルター有り無しとを並べてみる。いずれも半分にトリミングしてある。

2013-01-m45-0130-024tr.jpg

2013-01-m45-20s0131-021tr.jpg

 上が250mm、f/8、iso1600、10秒、下のフィルター付きが200m、f/6.3、iso1600、20秒で、バックグランドが暗くなる分光量は3.2倍、その割には見た目は大差ない。フィルター付きはホワイトバランスを調整してない(^_^;)

 フィルター付きをDeepSkyStakerして、無理やりメローペを囲んでの左下方面に広がる反射光が見えるところまで、粗雑な画像にしてみたのがこれ↓です。

m45-20130131-dkbidstctr-1.jpg

 これをフィルターなしの画像を比べてみると、反射光が多く出てるように見えますが、主だった中心星の色と他の星々の色が、フィルターなしでははっきりと認められるのですが、フィルター付きでは色の違いは埋もれてしまっています。

 参考までにフィルターなしのものを再掲せておきます。個人的にはフィルターなしの方が、淡いですが自然体で好きです。一枚ごとの画像では出てないのですが、DeepSkyStaker処理で色が出だすのがすごいですね。

m45-20130130-dkdstctr.jpg

  200mmの互換レンズと、250mmのキヤノンの標準レンズと比べてみて、焦点の結像能力はかなり違っているようです。互換レンズはEOSCripフィルターを使うためにやむなく使っています。(FE-Sレンズは使えないので(-_-;)

 カメラでWBをしっかり調節して撮るのと、とりあえず撮って十把一絡げに処理するのと同違うんだろうか(+_+? カメラでしっかりしておいた方がいいんだろうな~