ポラリエの最近のブログ記事

 2014年7月29日は快晴、新月の翌日でもあり、梅雨前線が北に移動して、湿度も低く、天の川は各地で良く見えたようだ。 夜は全天雲も無く、今年から加わった魚眼レンズEF8-15mmF4Lにとっては、絶好の日和でありました。

 東西南北撮りまくって、空全体の天の川が写っているのを選んでみました。 魚眼レンズはEOSKissX4との組み合わせで、焦点距離10mm撮影ですが、画角で180度までは行きませんが、公称では180度写るレンズですから、APS-Cサイズで対角線ケラレが無いのが10mmの位置です。 対角線で180度行くものと勝手に解釈して夜空に挑みました。

 撮影地は牧場隣接の駐車場です。 牧場の中に少し張り出したところがあって、視界は絶好調。 ですが、時たま車が来て人が降り、わざわざライトを向けるんです (-_-;)  画角が180度ですからライトが写るんですね。

20140729-milkyway-cygnus-centered.jpg

2014年7月29日23:33-23:43 撮影地:長野県立科町
EOSKissX4 新改造 ポラリエ使用 Astronomic CLSフィルター EF8-15mmF4L魚眼レンズ F=10mmで撮影、ISO6400 露出60秒のショット10枚をDeepSkyStackerでスタック画像処理。 dark画像使用 

 左端の木に隠れてカシオペアがあります。 中央の左端の近くにアンドロメダ星雲が見えます。 天の川の真ん中が白鳥座の辺りで、左に赤く色づいたスポットがいわゆる北アメリカ星雲です。 中央上の端に織姫がひときわ明るく、天の川を挟んで彦星が少し右寄りに見えます。

 そこから天の川に沿ってM11、M16、M17ときて、右端の方にM8が見えます。 この近くが天の川銀河の中心らしく、星団・星雲が目白押しです。

 このあたりを少し拡大撮影をするにはEF40mmF2.8のレンズを使います。 3週間以上待って、8月19日にやっとチャンスがやってきました。

20140819-M8M17M16-40mm-dkftds.jpg2014年8月19日20:34-20:39撮影 撮影地:長野県立科町 
EOS KissX4新改造 ポラリエ使用 Astronomic CLSフィルター、EF40mmF2.8  ISO3200 露出30秒のショット10枚をDeepSkyStackerでスタック画像処理。 dark&flat画像使用

 下の方の明るいスポットが、いて座の干潟星雲M8です。 中央上の2つのスポットは、下がいて座のオメガ星雲M17、上がわし星雲M16です。 

 M16とM17は2013年に撮っていました。 EFS-55-250mmで250mmで撮ると2つの星雲が同時に写ります。 これは2013年の再掲です。 

 2013-0813-m16m17.jpg2013年8月13日撮影 EOSKissX4新改造 ナノトラッカー使用 EF-S 55-250mmの250mm側 f/5.6 iso3200 露出60秒DeepSkyStacker処理

 2013年にもM16を巨砲SE250NCRで撮っていたんですが、今年の方がやや条件が良く撮れています。 40mmで撮った翌日2014年8月20日も撮影日和でした。

M16-20140820-CLS-dkftds.jpg2014年8月20日 22:05-20:15撮影 ケンコーSE 250NCR 25cm反射鏡 Baader Planetarium MPCCコマコレ使用 EQ6PRO赤道儀  EOSKissX4新改造 iso3200 露出60秒
10コマをdark frame flat frameを加えてDeepSkyStacker処理

 この画像は下が北になります。 初めの3枚は概ね上が北方面です。

 この星雲の中に魚のエイの口のような黒い切れ目みたいなのが見えますが、このあたり、新しい星々が猛然と生まれている所らしいです。 中央部分の黒いシルエット辺りを拡大したNASAの究極の画像を見てビックリ (@_@;)

 究極の画像がこれです↓

m16_NASA-tr.jpg 上下逆なので、関係づけが分かりずらいかもしれませんが、こうなっているようです、ハイ。 これにはかないませんね。

 ポラリエの極軸設定の支援ツールとしてポーラーメーターを買いました。 もう少し丁寧に組み立ててほしいです。

 北極星が見えにくいところでは、方位と仰角を合わせるのにはひと工夫が必要です。 本体の側面に付いている重心で矢印が下に向いているやつ、着想はいいんですが、あまりにも荒っぽくて役に立ちません。 そんななかでポーラーメーターは役立ちそうです。 目盛もある程度読み取れて、締め付けねじで設置角度を固定できます。 仰角の設置に気泡水準管がついています。2014-03-polarmeter-003.jpg

 このポーラーメーターは役立ちそうですが、これまた使うのにひと工夫が必要です。 付いている気泡管(右側の緑色)、極めて低感度。 あまりにも低感度なんで、感度の良い気泡管を写真のように目盛盤の上に載せて使わなきゃならん。 感度の高い気泡管なんか値段は変わらないんですけど、なんで、こんなのを付けたんでしょう。 それに、方位の目盛を合わせる基準線が、白い▽印とずれた状態で組み立てられているんですね。 そんなに精度は出せないのは分かってますが、丁寧な作りこみがなかったら日本製の価値が全くないんではないかな、ビクXXさん。

 写真は交換してもらった状態の良いものなので、汚れはありますが、ぴったり合っています。2014-03-polarmeter-001.jpg

 備忘録として極軸設置手順: マンフロット3軸ギア雲台+ポラリエの場合

 仰角方向の設置: 感度の良い気泡管を使って、三脚と三軸雲台面で水平に設置します。 1軸ギア(水平面回転)である程度北に向くようにしておいてから、三脚の軸の辺りに気泡管を置いて三脚自体の水平を取ります。

 2軸ギア(極軸/赤緯軸回転)と3軸ギア(仰角)を調節して雲台の水平を出します。 この3軸ギア雲台は気泡管が備わっているのでこれを使う(感度は良い)。 写真は目盛合わせの補助でデープが貼ってあって見苦しいが重宝している。

 ポラリエのアクセサリーシューのある面に気泡管を置いてポラリエを北に向けた状態で、いったん水平方向に雲台を合わせます。

2014-03-polarie-001.jpg ポラリエを傾けて北極星に合わせます。アクセサリーシューに付けたポーラーメーターの面に気泡管を載せて水平になる位置でポーラーメーターの傾きを固定しておきます。 以後、ポーラーメーターに載せた気泡管で仰角方向を設置できます。 

2014-03-polarie-004.jpg 3軸ギアでポラリエの仰角を合わせます。 観測地緯度に合わせて傾けていくのですが、雲台のギアの目盛かポーラメータの目盛か、ポラリエの目盛を使う。 どれもいい加減な目盛ですが、補助テープを使って目視の精度を増す工夫をする。 いちど北極星の見える所で校正しておくと、ポーラーメータの上に気泡管を載せて設置の再現性が増す。

 方位方向は北極星が見えない所では、GPS方位計またはポーラーメータの磁気コンパスを使い1軸ギアで合わせます。 GPS方位計の場合は、ポラリエの方位の基準軸が取り辛く、ポーラーメータの磁気コンパスを使う場合も、ポラリエ取り付けの所(アクセサリーシューの所)がグラついて、基準軸の収まりが悪い。

 補足ですが、ナノトラッカーの修理がひと月かかって戻りました(^_^)

2014-03-nanotracker-repaired 001.jpg 新品同様です(^_^)

 客の不満を解消すると、もともと満足している客以上に満足度が上がる。 

 顧客満足を通り越して、ひいきの客、MBAみたいなところではかっこよくロイヤルカストマー、ということになってしまうんですね。

 ヨドバシのネットショップで送られてきたビクセンのポーラーメータの組み立ての下手なこと。 肝心な方位を合わせる基準線が白い▽の位置とずれて組み立てられてあったりして、私としてはもっと丁寧に作ってあるのがほしかったんです。 ヨドバシカメラのショップに行くと、お店に有った在庫の中のものは全部ずれていて、唯一、展示してあったものがずれなく良くできていた。 二つ返事でこの一番いいものと取り換えて頂けたんですね。 ごてごて言わずに。 

 こういう経験があると、ヨドバシカメラでの買い物は安心できるんです。 「メーカーにきつく言っておく」と、店員さんは客と同じ立ち位置にいるんです。

 ひとつの「真実の瞬間」において、顧客の期待があって、この期待が顧客が受ける印象の基準になる。 その期待以上のことを受けたとき、感激のあまり心はメロメロになってしましうんですね。

 話はそれて、日本には「おもてなし」が文化となっていますが、欧米の方々はそういうのをモデル化して体系化するのが上手なんです。 モタモタしていて、日本に逆輸入するハメになり、それを得意然と講義したりコンサルしたりする姿、見たくないんです。 モデル化体系化は日本人にやってもらいたいんですね。

 2014年2月5日、月齢5日で寒気が入って夜空は澄んでいます。 オリオン座の上の辺りにあるばら星雲が超都心でも赤く捉えられるか探ってみました。 ナノトラッカーに代わりポラリエが初登場します。

 都心のマンションですから、西の空に来ないと見えないので、夜11時頃からの撮影です。 使用機材は、ポラリエ、EOSKissX4新改造、40mmパンケーキレンズ、AstronomikのCLSフィルターで、今回はCLSフィルターの有無の効果をみました。 カメラはベテルギウスを目印に構えます。

 結果は、CLSフィルター付きで赤く写りました。

20140205-orion-rosette-md.jpg2014年2月5日23:24より超都心にて撮影 EOSKissX4新改造 40㎜パンケーキレンズ CLSフィルター f/5.6  30秒露出 40コマをdeepskystacker処理

 下の左の方にオリオン星雲と三ツ星が写っていて、中央右に明るいベテルギウスが写っています。ばら星雲はこのオリオン座から辿るのが分かりやすいんではないかと思うんですが、双眼鏡でオリオンの顔の所からベテルギウスの先の方に、あるいはベテルギウスから冬の大三角形のプロキオン方面に1/3ぐらいまで、5等星ぐらいの星を2つぐらい辿って、3つ目の一角獣座のε4等星に行きつけば、その先の5等星がいくつかかたまって見えるあたりがばら星雲のはずです。

 画像の矢印の所がやや赤みがかって見えます。 拡大して見ると5等星を含む星が6つぐらい2列に並んでいるように見えます。

 ↓は昨年2013年2月11日に撮ったものです。

ori-gem1-40mcls0211ftbidstcmod.jpg

2013年2月11日23:19より超都心にて撮影 EOSKissX4新改造 40㎜パンケーキレンズ CLSフィルター f/2.8 5秒露出 60コマをdeepskystacker処理

  左の矢印の所がばら星雲で、右の矢印の所がモンキー星雲も写っていました。

 実質の露出条件は同じですが、ばら星雲の赤い発色の程度はいい様です。 2013年2月11日は3連休の休日で新月から1日目で条件がかなり良かったようで、それが正直に出て いるんですね。 

      ori-gem1-40mcls0211ftbidstctr11.jpg  ori-gem1-40mcls0211ftbidstctr22.jpg

 適当に拡大して、左がばら、右がモンキー、赤く見えますね。 今度条件のいい所で巨砲で撮ってみたいですね。

 CLSフィルター無しでは、全く赤い色には写りませんでした。 光害カットの効果はありました。  EFレンズはまだひとつしか持ってないんですが、EOSKissX4とEOS clip CLSフィルターの組み合わせはいい様です。  

 ついでに、一番上の画像を拡大して見ると認められるのですが、三ツ星の左の星の周辺に、うっすらと散光星雲NGC2024も写っています。

備忘録
ばら星雲: 一角獣座 NGC2237 散光星雲、中の散開星団はNGC2244 5000光年先にある。
モンキー星雲: オリオン座 NGC2174 散光星雲 中の散開星団はNGC2175  6400光年先にある。

 2014年1月5日、愛用のナノトラッカーが敢え無くダウン。 故障しました。 中を開けてみた。 一番小さい白い樹脂製の歯車が、苦しそうに、歯の一部が欠けたりしていて、空回りしたり、真鍮製の大きな歯車を回せずに、撓りながらパチンパチンと音を立てています。 これでは内部のアセンブリ半分は取り換えかな。

  2014-01-nanotracker-004.jpg 歯車は強度設計上無理がありそうな感じ。 ヨドバシカメラの廃止になりかけているアフターサービスポイントを使って修理が考えられるんですが、酷使して、ガタはくるし、1年後再修理は覚悟しなければならんか。 それなら高いけどポラリエにするか、との結論に至り、ポラリエになってしまった。

 ナノトラッカーは中身の設計はまるでダメなんですが、機能設計とか装着の考え方が気に入っていて、愛着はあったので一抹の寂しさはあるんです。

 ポラリエをヨドバシカメラからネットショップ、翌日ゆうパックで配送されました。

 ポラリエは比べものにならないくらい精巧な作りです。 久々のmade in Japan の感触です。 裏蓋を外して出てくる方位磁石のような役に立ちそうもないところはあります。 覗き穴もでかくて、かなり斜めから覗いても見えてしまう。 基準水平面を出さずに仰角を簡易設定できるのはいいアイデアですね。  ナノトラッカーにあるようなガタはありません。 精巧なので極軸設定さえできれば、かなりな追尾精度が出るんじゃないかな。 

2014-01-polarie-013.jpg 我が方の場合、北極星が見えない所での高精度設置が目標なんで、この点からははやり方位合わせがひと工夫必要なようです。

ポラリエの極軸設置精度

 北極星の見える所では、ポラリエのアクセサリーシューに我が割り箸照準器を付けると、覗き穴との比較で、±1度程度まで追い込めそうです。 一度極軸望遠鏡を使わしてもらえるなら、もっと高精度が出るように割り箸をキャリブレーション出来そうなんですが、今の所当てずっぽうで±1度としておきます。 覗き穴はでかい分かなりずれていても覗けちゃうので、使わない予定です。

 北極星の見えない所では、仰角の方はナノトラッカーの時の方式を踏襲して、希望的観測で±1度まで行けたとしても、方位の方は、GPSの方位計を使っても、ナノトラッカーよりも基準面が取ずらい分不利ですなので、±2度+α としておきます。 ちょっと楽観過ぎるかな。

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北極星の見えない所の設置で追尾精度を確認してみました

 極軸合わせの設置では、方位の方が、地磁気でもGPSでも、どうしたわけかマンションのベランダの位置で変わっていて、それらしき方位を定めるのに難航しましたが、結果がどの程度なのかを実写で確認してみた。(2014・01・10)

 西空のベガススのマルカブ(Markab)です。 赤緯で15°位なので、テスト用としては適当なターゲットです。 250mm望遠で30秒、60秒、120秒、240秒、300秒、10分、重ね合わせで50分撮ってみましたが、結構いい線行っていました。

20140110-markab-120s.jpg 250mm望遠で120秒の露出時間の画像です。 中央がマルカブです。 この画像ではたまたま流れが無かったのですが、概ね1分で1.2ピクセル(EOSkissX4のセンサーで)の流れでした。

  カメラの感度を上げて使うので、60秒以上はほとんど使わないのですが、120秒でも耐えうる結果です。 マニュアルでは極軸が2度の誤差で200mm 望遠で点像に写るのが30秒程度といっているので、北極星が見えない所での設置精度としては申し分ないところまで行っていそうです(^_^) 

 方位の精度が出せれば、メカがしっかりしている分、設置精度の再現性はありそうです。 いきなりいい加減なんですが、設置の再現性を考慮して、250㎜レンズでは、北極星の見える所では120秒、見えない所では60秒までの露出でいいかな。

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ポラリエ雑感

 電池の持ちは2時間と言ってるが、エネループで、予想以上に、優に2時間以上は安定的に動作しています。 実感では倍以上軽く行けそうです。 スペックはかなり控えめの感じです。 電池2本で済むところがいい。

 バッグに入る大きさだからどうの、というのはとんでもないことです。 740gもあり、ナノトラッカーより260g重く、三脚やら3軸ギア雲台もあるので、少しでも軽くしたかった小生としては痛手です。 軽い雲台を物色します。