2012年4月アーカイブ

金環日食撮影準備

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 いよいよ近づきました、5月21日金環日食。

 目標は蝕の連続写真。 太陽が欠けていく姿を連続で1枚の写真に写したやつ、あれです。 余談で日蝕は常用漢字に無いので日食と書くらしい。 「食の連続写真」だと意味不明なので、「蝕の連続写真」と書かせてくださいね。

 現有機材は、デジカメ(キヤノンEOS KissX4) 18-135mmズームレンズ やや頑丈な三脚 中国製タイマー。
 新規購入品は、マルミ77㎜D5フィルター ケンコー67->77㎜アダプター 観察プレート(ノートの下敷きのようなもの) それと解説した雑誌2冊。

2012-04 eclipse-prep 006.jpg はじめ馴染みの天文機材ショップで教えを乞おうと尋ねたところ、「まずこんなのを読んだら」と雑誌を持ってきた。 愚問だった。 雑誌2冊を購入し作戦を練った。

 撮影地: 心当たりのある見晴らしの良いさる場所。 都心のランドマークを入れながら撮れれば最高なのだが、諸般の理由であきらめて、殺風景な太陽だけ。 あとから風景を付け足すかなと。 
 撮影: リングと連続写真に集中する。 よって、しっかりと三脚で蝕の中心点と思われる方向にカメラを向け固定する。 はみ出したら動かす。 金環の時に一度中心に持っていくのが現実的か。
雑誌の解説から、ISO100、1/1000秒、f=8。 蝕の状態で動かさない。 Raw+jpegで撮影。 手振れ防止OFF、マニュアルフォーカス。
 予めライブビューで望遠側の合焦点をマークしておいてそこに合わせて撮影する。

 画像処理: 画像を素直につなげる。 フリーソフトを探しておく。

 ここでためし撮り。 135㎜ ISO100 1/1000秒 f=8  MF 手振れ防止OFF 中央部トリミングしたもの。

2012-04 sun-trial 007t.jpg 拡大すると下の方に黒点が写っていた。
 この条件でリングだけになったとき、周辺部やや暗く写るようだが、念のため1/500で写してもよし、RAWで写してあとから処理で補正してもよし。

 あとは、えーと、起床時刻は? 東京の撮影候補地で蝕が始まるのが6時19分00秒だから、遅くとも5時半に起床し体制を整える。 蝕の最大時刻は7時34分12秒。 孫にこのあたりの時刻をよく知られておかなければと。 マンションのその階でみられるかな? 金環の時の方角と仰角は? 方角はまだわからない。 仰角35度ぐらいか(1メートル行って75センチの高さ)?。

 

 ここで登場したのが現在月8円で使用中のマイナーなスマートフォン、そこに以前購入したStella Theaterソフト。 これがなかなかの優れもの。 

 観測地と5月21日の時刻を合わせていくと、太陽が欠けていく様子が出てくる。 まず方角、ちょうど金環にある時刻では真東からほんの3度程度北に振れたあたり。 仰角はというと、これも目盛から34度程度だというのが分かった。 これで現場下見をする。

 使用予定のズームレンズの望遠側で使用する予定なので、135㎜でのAPS-Cの画角は水平側15.2/1.6=9.5度、垂直側10.2/1.6=6.4度。 太陽の軌跡から水平垂直を変えて縦長に使用すると、30分で垂直方面に7度移動、水平方向に5度程度移動なので、おおよそ15分前に画面の左下に太陽を持ってきて、順次シャッターを押せば、定刻に画面の中央あたりで金環になりそうである。 これでいこう! 再計算の結果、ギリギリのところ9.5°移動で44分、44分で水平5°程度移動なので、7:11頃下の端、コーナーより20%程度内側に太陽を持ってくる。

 再計算はStella Theaterのあと、雑誌の解説書の付録についていた「エクリプスナビゲータ2012」で再確認した。

7時11分にカメラ画面の左下に太陽を合わせる


 シャッターは少し多めに60秒間隔にしよう。

 ところで、太陽の角直径は30秒(0.5°)らしい。 これは移動時間にすると、60分で15°だから4分で1°、0.5°で2分。 60秒おきとは、太陽がひとつ動いたときに2枚シャッターを切ることになる。 ハイライトで30分15枚。 角度の秒と、時間の秒と混乱しそうです。

 前日バッテリーをフル充電しておくことを忘れないように。


 追記 5月20日前日準備

 カメラで太陽位置を合わせるとき、ミラーアップでシャッタースピードを遅く設定しておくと、モニター画面に明るく映るので、明るい環境で合わせやすい(その後シャッタースピードを元に戻すのを忘れないこと)。

 また、モニター画面の手垢油汚れを良く落としておくこと。さらにズームレンズ先端に段ボール紙で太陽光遮蔽板を作った。これがなかなか快適な環境ができる。

 シャッタースピードは曇り状況に合わせ1/500-1/250秒にする。 ミラーアップモードにせずに、シャッターモードは連続撮影にして機動性を高めておく。

 曇り予想だが、最後に寝坊しないように目覚ましをセット。

 

 

 まとめ 

カメラを縦にし7時11分頃画面左下コーナーから20%程度右に太陽を位置合わせし、このタイミングで30秒おきのタイマーシャッターをスタートさせる。 

 ためし撮りで、タイマーの途中でシャッターをリモートタイマーでインタラプトをかけシャッターを切ることができることが確認できた。 よって、

 第2接触から第3接触までの7時31分から37分にかけて随時インタラプトシャッターを切る。

 

 ズームの広角側ではどうか。 画角は水平側66度、垂直側46度。 欠け始めから終了までの140分で移動する角度は、おおよそ仰角で47度ー19度=28度、横方向へはー8度ー5度=13度。 これだと、カメラを横にしても初めから最後までたっぷり入る。

 28度、13度に相当する焦点距離は垂直で28㎜、35-50㎜、 水平では、35-55㎜、100㎜ 太陽の像はきわめて小さくなりこの構図は不採用。

 
  最後の問題点は当日のお天気。 統計的に5月21日の「晴れ」の出現率は63.3%だそうです。
「雨」は23.3%、「くもり」は13.3%。

 目標の画像、こんなの取れたらいいな。


 金環日食撮影の顛末の記




 2012年4月新月期間の星空観察プラン

  我が観測所は天頂から西空の狭い領域だけ。

 日没直後に極軸を合わせ、午後7時頃に西空にカペラが輝いているので、これと天頂近くのふたご座のカストルかポルックスでアライメントをする。 さらにエルトナで追加アライメントをする。

 エルナトからベテルギウスに行く途中のM1(惑星状星雲)に挑戦する。

 エルナトの近くのM35、M36、M37(いずれも散開星団)に挑戦する。 M36に向けて135㎜で撮ってみる。 および個別に挑戦。

 7時頃から天頂に現れるかに座のM67(散開星団)とM44(散開星団)に挑戦。

 おおくま座のM81,M82、M101、M108(いずれも系外星雲)、M97(惑星状星雲)、

 視野に入るようだったらしし座に移り、レグルスで追加アライメントをする。 

 しし座でNGC2903、M95、M96、M105を探してみる。 同じくM65、M66を探してみる。


 その後の顛末記

 4月18日は夕方から雨。諦めて早寝で、深夜目が覚めると星空が。日が変わってからの手順は考えてなかった。

 急遽、極軸を合わせたところで濃霧により中止。日没から深夜までと、深夜から夜明けまでのプランも用意すべし。


 深夜からは、アークトゥルースとデネボラ又はレグルスでアライメントをする。

 観察撮影のターゲットは、M101、M66、M67、りょうけん座のM3(球状星団)あたりを探してみる。

 おおくま座のM97は木の陰に隠れる。