LCM経緯台の最近のブログ記事

 セレストロンのLCM経緯台はとてもお手軽です。 写真撮影には全く向かないのですが、よく知ると写真撮影にも少しは耐えられるんではないかと信じています。 新たな発見も含め、使いこなすための備忘録です。

1.星がぐるぐる回る

 この星の日周運動みたいな光跡はなんだ?

 LCM経緯台を3スターアライメントをして撮った星野は、「お手軽経緯台LCMでペレセペ星団(かに座)とひしゃくの星野を撮ってみた」で披露しましたが、この元画像をdeepskystackerで比較明合成してみると、こんなになっちゃうんです。

2013-0422_dubhecentered_noalignment_200sec.jpg 2013-0422_m60centered_no_alignment_600sec.jpg

 左は北斗七星の柄杓のさきの星Dubheを中心に据えた星野で、比較明合成で200msの露出です。 右はアライメント星からさらに離れたおとめ座あたりの600msの露出の星野です。 いずれもEOSkissX6iに40mmパンケーキレンズを付けて撮ったものです。

経緯台の場合、カメラアングルはいつも水平垂直を保ちながら中心星を追尾すると、水平垂直からは傾いている赤経に沿って動くので、赤経赤緯を基準から見るとカメラのアングルは回転してしまっているんですね。

 天の赤道から北は反時計回りに、南は時計回りに回ってしまうようだ。 では天の赤道ではどうなんだ?

 APSCで40mmレンズの時の星の流れが目立たない限界露出時間は20秒程度でした。 この撮影モードでの目安としておこう。

 限界露出時間以下で撮った連続画像をDeepSkyStacker(DSS)で重ね合わせ処理をしようという魂胆です。 DSSは回転方向もきちんとアライメントしてくれます。

 本格的にはハンドセットに隠されている赤道儀モードを使うと出来そうですが、かなり準備が必要なようですね。

     

 LCMマウントに新改造EOSkissX4と40mmパンケーキレンズを乗せて、満月に近い月夜でしたが、都心を離れて、いつもはEQ6proとSE250N CRの巨艦と巨砲の置いてある山の中で星野撮影を楽しんでみた。

 山の中と言っても、月夜で空が明るいので、iso=1600 f=2.8となると、光害カットフィルター無で、露出は10秒程度迄なので、あとは枚数で稼いで、20枚となると200秒でかなり開けた感じになります。

2013-0422-peraesepe-lcm40mmx4-ds.jpg 2013年4月22日撮影のdeepskystaker した画像がこれですが、dark 10枚だけで、flat 何かは使ってないので周辺減光と、西空のかに座の左方向にある月明かりががぶって見えます。

 中央にペレセペ星団M44があり、それを取り囲んでかに座の四辺形とそれから伸びた足があります。 画面中央左端の辺りにはM67なんかが写っているみたいです。さすが40mm単焦点レンズだけあって周辺のコマ収差は非常に小さく満足できます。

 本題のLCM経緯台は3star アライメントで、西空しか見えないもんだから、ブロキオン、カストル、レグルスでしました。かに座はアライメント星に近くなので精度的には問題なく、追尾精度も10秒なので全く問題ありませんでした。 星空機材店では写真というと、経緯台は売ってくれませんが、結構いけるもんです。 これでペルセペの辺りで11.0等星位まで写っています。

2013-0422_dubhe_x4lcm40mm_ds.jpg これは北斗七星のひしゃくの先のα星Dubheを中心に同じ条件で撮影し、同じdeepskystacker したものです。 北極星は画面の下方向で、ひしゃくの4つの星が中央から右上に、下の方はカラマツの高木の枝が少し入った星野です。

 月と反対側なので空の条件は少し良いようです。 アライメント星から離れていますが、全く流れはありません(*^。^*)

 拡大して見て見ると、画像の左下あたりに、ステラナビの助けを借りながらたどると、M81、M82銀河が広がりのあるシミに、M82の方は歪んで認められます。 北斗七星のβ星とγ星の間に、画像では中央から斜め右上の辺りにM108銀河がやはり広がりのあるシミで認められます。M97星雲も多分それではないかなと認められます。

 γ星のすぐ近くにM109銀河も小さいシミで見えます。

 40㎜パンケーキレンズは明るくひずみの少ない良いレンズです。周辺のコマもほとんど見えません。 LCM経緯台もお手軽でした。お手軽すぎてすぐに足を引っ掛け狂わせてしまいそうです。

 理由は分からないのですが、月の光が被るアライメント星から倍離れたところで、CLSフィルターを付け30秒の露出で撮った画像は、中心は止まっているのですが、周辺の星は画面中心を軸に回るように流れが認められました。 なぜなんでしょう、確認はできていません。

 

  セレストロンのLCM経緯台は極めてお手軽で、お手軽星空撮影に使えそうである。 都心のベランダでの星空撮影を想定して、ノトラッカーと対決してみた。

1.まず一番の関心ごとである設置精度と、追尾精度。

 ナノトラッカーはギアを使う場合で±2度程度以上は難しい。LCMはカメラのライブビューにグリッドを表示させて、その中心にアライメントの星を入れることで非常に精度よく設置できる。 

 肝心の追尾精度、ナノトラッカーの方は、アルデバランに照準を合わせ、ズームで200mmの望遠位置、f/20、iso=100で10分を連続で6枚計1時間の露出時間

 同じくLCMの方は、アルデバラン、リゲル、ベテルギウスでアライメントをして、アルデバランは手すりにかかりそうだったのでベテルギウスを追尾、カメラ条件は同じ。(LCMのとき雲が猛然と出てきて危ぶまれたが、拡大して見ると星は見えていた)。 結果をdeepskyastackerで合成して繋げた。 LTtest-NANO-60s.jpg

LTtest-LCM-60s.jpg

 上がナノトラッカー、下がLCM。 LCMの方を左に90度回転すると同じカメラアングルになる。 LCMの方が良い。ただ、通常使うのはせいぜい60秒以下だからどちらでもいいかな。

2.値段と搭載重量
 どちらもほとんど同じ値段だけれど、ナノトラッカーの方は設置支援のため、manfrottoの3軸ギア付雲台を買ったので、出費は2倍弱かかっている。 またどちらも2kgの機材の搭載重量制限で、お手軽価格でLCM有利。

3.お手軽携帯性
 ナノトラッカーはSLIKの三脚に付けた雲台とナノトラで重さ3.5kg。 LCMの方は専用三脚、本体、充電池8個付、カメラを付けるアリガタを入れて4.0kg。

 どちらも4時間程度以上では電池交換が必要で、ナノトラは一時中断するが、入れ替えればほぼそのまま復帰する。一方LCMの方はアライメントをやり直す必要がある。 だた、ベランダでやる場合は電源を使う手がある。 ナノトラッカーがやや優勢か。

4.設置のお手軽設置性
 ナノトラッカーは3軸のギアを回して、水平を出し方位と仰角を調整するだけで、予め計測されているので5分程度。野外ではのぞき穴に北極星を入れるだけ。 LCMは水平を出し、場所日時を入れ、3つの星でアライメントをしないと使えない。少し失敗すると日時を入れなおすところからやり直しだが、アライメント後の機動性は圧倒的に高い。見えない目標にカメラを向けるのもLCMは自動で正確にできる。ナノトラッカーは難しい。 互角。

 判定はお手軽経緯台が優勢勝ちってとこかな。 旅先での携帯用だとナノトラッカーが判定勝ち。

お手軽経緯台を使ってみた
ナノトラッカーで夜空を撮影する機材をそろえた

 セレストロンの経緯台LCMにカメラを付けて超都心の夜空を撮ってみた。

2013-03-celestron 003.jpg

 鏡筒付きの90LCMを買いましたが、この経緯台だけを使います。

 この経緯台だけなら三脚付きでナノトラッカーと同じくらいの値段で買えて、星空のアライメントをかなりのところ自動でやってくれるので、北極星が無いところで使えて、星空がもっと身近になるんではないかな、という胸算用です。

 カメラは「新改造」のEOSKissX4です。 手持ちのビクセンのVCM 110L反射鏡筒についているアリガタ(というらしい)を取り外し、カメラに付けて経緯台にマウントしました。 

 ハンドコントローラーは、日時、場所情報を入れなければなりませんが、3つの明るい星をカメラのライブビューで中央に順次合わせると、中で計算してアライメントが完了する優れものです。 

 ベランダに置いて、西空の低い位置しか見えないもんだから、木星―オリオン座のリゲル―(ほかに見えるのが無いので近か過ぎてるが)アルデバランに合わせてみた。 何やら中で計算して「アライメント成功したよ~」と出た\(^o^)/

 カメラレンズが200mm程度だから、M42の辺りやスバルの所なんか、一発でカメラの中心に向かった。

 問題は追尾精度、30分ぐらい放置すると、画面で1/30ぐらいの大きさで8の字みたいに動いていた。ここで使ってる200mm望遠で30秒ぐらいまでなら流れずに使えそうかな。

  n2264-20130302-cls200mdrt.jpg

 アルデバラン-リゲル-ベテルギウスでアライメントした後、オリオン座の左上あたりngc2264の辺を某社18-200ズームレンズの200mm側で、CLDフィルターを付け、iso1600、f/8、15秒の露出で20枚撮り、deepskystackerした画像がこれ←です。 

 満月から4日目の3月2日の22時30分ごろの撮影です。この辺り、都心でも結構星がありました。

 四季の森あたりで撮るとカラフルにきれいな星空が写るはずなんですが、都心では今のところこれが精いっぱいです。 

 この画像も某社のズームレンズなので、絞り方が足りないのか、絞っても出まくっているのが周辺の収差で、放射状に内側が赤く外に向かって青く伸びていて、deepskystackerも中で混乱するのか、時にはこの赤と青が別の星のようにばらけて出ることもあり処置なし(・_・;)

 何とか設定をととのえ、小さい画像で何とか見られる一枚がこれなんです。 拡大すると見られたものではありません。

 ところで、この経緯台と一緒に売られている鏡筒についているスターポインター、これ全く使い物になりません。分かっていながら子供をだまして夢をつぶすようなことを言って、これでいいんだと言っています。分解すればポインターの赤いドットがふたつ光る構造になっていても、セレストロンのアメリカあたりのサポートの返事でも、ドットはひとつしか光らなくていいんだと言い切っていました。

 分解して調整してみたんですが、そのままではうっすらと光らせるところまではできるんですが、使えるまでの明るさの赤いドットにはなりませんでした。 直せないので口をそろえてこう言っているのでしょうか。 お小遣いをためて買った子供の夢をつぶさないようにしてくださいね。

 (3月3日追記)
 
スターポインターはどうせ使えないもの、では分解し、工作し直してみようと、念のため、赤LEDとワイヤを東急ハンズ(最近はこんなものが売ってるんですね。秋葉原に行かなくても)で調達して取りかかった。 

 結論的には、中のプラスチックマウントが設計不良か部品不良の見落とし、そのまま部品アセンブリに行って使えない状態のまま作り続けて、販売・サポートが苦し紛れの弁明を余儀なくされている構図のようです。 

 中のマウントを少しやすりで削って、LEDの光の向きを変えて再アセンブリ。 奥の方のドットが明るく見えるようになった。 これで手前のドットと奥のドットとでこの直線上で星を導入できそうだ。 東急ハンズの部品は使わなかった。

 参考までにこれがスターポインター。不良で手前の赤いドットしか見えなかった。 再工作後、向こう側の赤いドットも点くようになった。2013-03 star-pointer-001.jpg