2013年5月アーカイブ

 セレストロンのLCM経緯台はとてもお手軽です。 写真撮影には全く向かないのですが、よく知ると写真撮影にも少しは耐えられるんではないかと信じています。 新たな発見も含め、使いこなすための備忘録です。

1.星がぐるぐる回る

 この星の日周運動みたいな光跡はなんだ?

 LCM経緯台を3スターアライメントをして撮った星野は、「お手軽経緯台LCMでペレセペ星団(かに座)とひしゃくの星野を撮ってみた」で披露しましたが、この元画像をdeepskystackerで比較明合成してみると、こんなになっちゃうんです。

2013-0422_dubhecentered_noalignment_200sec.jpg 2013-0422_m60centered_no_alignment_600sec.jpg

 左は北斗七星の柄杓のさきの星Dubheを中心に据えた星野で、比較明合成で200msの露出です。 右はアライメント星からさらに離れたおとめ座あたりの600msの露出の星野です。 いずれもEOSkissX6iに40mmパンケーキレンズを付けて撮ったものです。

経緯台の場合、カメラアングルはいつも水平垂直を保ちながら中心星を追尾すると、水平垂直からは傾いている赤経に沿って動くので、赤経赤緯を基準から見るとカメラのアングルは回転してしまっているんですね。

 天の赤道から北は反時計回りに、南は時計回りに回ってしまうようだ。 では天の赤道ではどうなんだ?

 APSCで40mmレンズの時の星の流れが目立たない限界露出時間は20秒程度でした。 この撮影モードでの目安としておこう。

 限界露出時間以下で撮った連続画像をDeepSkyStacker(DSS)で重ね合わせ処理をしようという魂胆です。 DSSは回転方向もきちんとアライメントしてくれます。

 本格的にはハンドセットに隠されている赤道儀モードを使うと出来そうですが、かなり準備が必要なようですね。

     

 LCMマウントに新改造EOSkissX4と40mmパンケーキレンズを乗せて、満月に近い月夜でしたが、都心を離れて、いつもはEQ6proとSE250N CRの巨艦と巨砲の置いてある山の中で星野撮影を楽しんでみた。

 山の中と言っても、月夜で空が明るいので、iso=1600 f=2.8となると、光害カットフィルター無で、露出は10秒程度迄なので、あとは枚数で稼いで、20枚となると200秒でかなり開けた感じになります。

2013-0422-peraesepe-lcm40mmx4-ds.jpg 2013年4月22日撮影のdeepskystaker した画像がこれですが、dark 10枚だけで、flat 何かは使ってないので周辺減光と、西空のかに座の左方向にある月明かりががぶって見えます。

 中央にペレセペ星団M44があり、それを取り囲んでかに座の四辺形とそれから伸びた足があります。 画面中央左端の辺りにはM67なんかが写っているみたいです。さすが40mm単焦点レンズだけあって周辺のコマ収差は非常に小さく満足できます。

 本題のLCM経緯台は3star アライメントで、西空しか見えないもんだから、ブロキオン、カストル、レグルスでしました。かに座はアライメント星に近くなので精度的には問題なく、追尾精度も10秒なので全く問題ありませんでした。 星空機材店では写真というと、経緯台は売ってくれませんが、結構いけるもんです。 これでペルセペの辺りで11.0等星位まで写っています。

2013-0422_dubhe_x4lcm40mm_ds.jpg これは北斗七星のひしゃくの先のα星Dubheを中心に同じ条件で撮影し、同じdeepskystacker したものです。 北極星は画面の下方向で、ひしゃくの4つの星が中央から右上に、下の方はカラマツの高木の枝が少し入った星野です。

 月と反対側なので空の条件は少し良いようです。 アライメント星から離れていますが、全く流れはありません(*^。^*)

 拡大して見て見ると、画像の左下あたりに、ステラナビの助けを借りながらたどると、M81、M82銀河が広がりのあるシミに、M82の方は歪んで認められます。 北斗七星のβ星とγ星の間に、画像では中央から斜め右上の辺りにM108銀河がやはり広がりのあるシミで認められます。M97星雲も多分それではないかなと認められます。

 γ星のすぐ近くにM109銀河も小さいシミで見えます。

 40㎜パンケーキレンズは明るくひずみの少ない良いレンズです。周辺のコマもほとんど見えません。 LCM経緯台もお手軽でした。お手軽すぎてすぐに足を引っ掛け狂わせてしまいそうです。

 理由は分からないのですが、月の光が被るアライメント星から倍離れたところで、CLSフィルターを付け30秒の露出で撮った画像は、中心は止まっているのですが、周辺の星は画面中心を軸に回るように流れが認められました。 なぜなんでしょう、確認はできていません。