2012年3月アーカイブ

M27画像処理の試み

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 2011年10月の月明かりの無い頃、M27を狙い最挑戦。新たに得たフリーソフトDeepSkyStackerで 画像処理したら、予想以上の成果が得られたので、その処理プロセスと画像の変遷を紹介したい。

結果はこれです。修正最終画像の中央部の拡大したものです。 星雲の中まで細かな星像が浮き出て、球の表面に白く映る紋様がでている。前月撮った写真はピンク部が濃く出ているのですが、今回のはわずかにピンクが認められる程度です。 可視光も綺麗ではないかな。 思いのほか微細に映りだされたので、自分としては自慢の逸品です。ざらついた感じがノイズ混じりなのかリアルなのかは分かりません。 こうなったとして見てくださいね。

M27-2011-10-ps-ds-ss-trm.jpg

 2011年10月27日19:16-19:25撮影  撮影地:長野県立科町 ケンコーSE 250N CR 25cm反射鏡 Baader Planetarium MPCCコマコレ使用 EQ6PRO赤道儀 キヤノンEOS KissX4無改造 ISO3200 露出60秒のショット6枚をCanon Digital Photo ProfessionalとDeepSkyStackerでスタック画像処理の後中心部をトリミング。掲載のため縮小専用で400x266pcに縮小。

 

ここに至る画像処理

オリジナル画像はこれです。 

2011-10 M27 092.jpg

 カメラはキヤノンEOS KissX4 でISO3200で露出は60秒です。中央のものの出具合からこの程度かなという感じでした。 60秒なので星の流れや振動の影響が少なく撮れました。 これを10枚撮り、星の流れ揺れの小さいもの6枚を採用しました。

 

Canon Digital Photo ProfessionalによるPS処理後がこれです。

2011-10 M92 092ps.jpg

 PS(ピクチャースタイル)と呼ぶ機能で主にバックグラウンドの夜空の明かりを暗黒の状態にしました。月がなくてもどうしても空が明るいんですね。 処理前は地上からの眺め、処理後は宇宙に出た眺めといった感じ。この星の点にノイズが混ざっているかもしれません。

 

 パターンノイズの除去にダークフレームを使い引き算処理をします。反射鏡にふたをして同一条件でシャッターを切りました。多少撮り忘れ気味で時間帯が30分程度早い時刻のものですが、条件(カメラ内部温度)は同じということで。

2011-10 dark 066.jpg

 見る限り真っ黒でノイズなしの状態。夏場よりかなり少ないのはこの地は霜の降りそうな時刻に近づいているからです。 カメラのノイズ性能は良い!

 

6枚のPS処理後の画像とダークフレームをDeepSkyStacker処理をします。stack後の画像がこれです。M27-2011-10-ps-ds.jpg

バックグラウンドは全体に明るくなり、周辺減光が目立ちます。M27内に紋様が見えてきています。星像もかなり微細に出てきています。 周辺減光を補正する機能があるのですがまだマスターできていません。


結果を最終調整をしたのがこれです。トップの最終画像のトリミング前の画像です。

M27-2011-10-ps-ds-ss.jpg

スタックで加算減算をした状態では像全体が明るい方にシフトしているので、スタック後明暗の分解能が大きくなるようにシフトしていきます。 RGB/K levelという操作で微妙です。複雑な細工をせずに単純にバックグラウンドが適当に暗くなるところに調整しました。 正しい操作がわかっているわけではありません。TIFのフォーマットなのでAVS Image Converter(有料)でよく使うJPGに変えました。 

処理前後と比べると、6枚加算の効果でM27の暗いブルーが明るく出ています。明暗の分解能が上がり紋様が浮き出て、微細な星像がはっきり出てきました。 M27の周辺部を見ると、ところどころ星の群れが模様を作り、星の少ない筋模様も感じられるのも趣があります。

もう一度トップの拡大画像を鑑賞してください。

 

うろ覚えを思い出しながら纏めているので勘違いしている部分もあるかもしれません。

補足ですがブログサイトのヘッダー画像も同じような処理プロセスで作りました。

 

星空写真のキモ

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 反射鏡で星空観察をし写真を楽しもうとするとき、いくつかの難題に直面する。 これを自分の直感で理論的定量的検証をせずに、あくまでも直感でまとめておく。

 

デジカメのノイズ

キヤノンEOSKissX4では試してみたところ、ISO3200のとき常温で2分ぐらいからノイズがガンガン増える。 ダークフレームノイズの中には決まったパターンのノイズが含まれているらしい。 暗電流ノイズというらしい。 いつも同じ素子のところでノイズが出ている。 さらに露出時間を長くするとその他ホワイトノイズが優勢になり画像ごとにバラバラ。 ホワイトノイズはISO感度の数値X露出時間一定の関係にある。 温度とノイズは指数関係にあるので、ある一定の限界値的なポイントを設定でき、それ以上は指数関数的に増えるので使えない。 低温ほど有利、絶対零度まで下げれば理想。冷却CCDカメラがあるが高価で財政破たんをきたす。

この限界値設定(と、ここでは言っておく)を季節単位で決めておく。 撮影サイトの夏場はISO3200・120秒、春秋は6400・120秒。 露出時間はこれ以外の要因で決められてしまっている。

一定パターンのノイズはこれは引き算で処理できる。フリーソフトDeepSkyStackerの中にあった。

 

もろもろのホワイトノイズ

大気の揺らぎ、カメラのノイズで撮影限界が決まってしまう。 SN比を上げるため加算平均をとるとSN比が上げられる。加算する枚数をnとすると、√nで改善できる。たとえば4枚の画像を重ねるとSNは2倍改善できるのではないか。

これをやってくれるフリーソフトが、これがあるんですね。 惑星用としてRegistax、星雲星団用としてDeepSkyStack。Registaxの方はまだ使いこなせてない。 DeepSkyStackerはなんとか。

 

機械的振動

撮影環境で飛びぬけて大きな要因は床。我がベランダ天文台は木製なので、人が息をするだけで揺れる。 風が吹くと揺れる。 シャッターを切るときのミラーの振動で揺れる。 赤道義のステップモーターの振動は無視できる。 タイマーのディレイとミラーアップ撮影で、人がベランダから退去して撮影する必要がある。 撮影の歩留りが悪いので、枚数は多めにし厳選する。

 

極軸合わせ

北極星が木の枝に隠れる。 高木のカラマツで何とかして枝を切りたい。 木製床では極軸を覗いている時と人が退去した時とで明らかに向いているところがずれる。 観察条件で合わせるため鏡筒とバランスウェイトを搭載した状態で合わせる。

 

センサーの限界の明暗光量の幅(ダイナミックレンジ)

暗い天体の場合は限界設定に近いところでの設定が有効であるが、明るい天体の場合画像素子が飽和する。 センサー自体の限界光量はどのくらいか、明暗のダイナミックレンジはどのくらいか、ともに不明。経験値から決める。  明るい天体の時その後の画像処理系のダイナミックレンジのことを考え余裕をもって抑える。  露出時間を短くするか、ISOを小さくする。 振動ノイズを考えると露出時間を短くしておく方が有利か。

設定を抑え、後の演算のダイナミックレンジを確保するためにRAWまたはRAW+JPEGの最大分解能で撮る。


放物面反射鏡のコマ収差

 我が反射鏡はR=25㎝、f=120cmの放物面鏡。中心部の画像しか使わないものでも周辺に変なのが写っていると気になる。 美しさを追求する場合はなおさらである。素直にコマコレクターに頼ることとした。Baader PlanetariumのMPCC-VIO(撮影および眼視両用)に投資することで解決する。


合焦

闇夜での望遠鏡やデジカメの合焦は困難を極める。

デジカメのズームレンズの場合:ファインダーを覗いても星が見えない。日中明るい時に無限遠の位置をズームの広角側と望遠側の2点だけ、手動で合わせてしるしをつけておくことで何とかしのぐ方法、1等星に向けオートで合焦し手動に切り替えその状態を保って目標に向け撮影する方法がある。

反射鏡の場合:デジカメのスクリーンの拡大表示を見ながら、点星像がゆらゆら揺れる中合わせる。 1等星に向けたときは、鏡筒の先端あたりにある斜鏡の支えの影の影響だと思いますが、ダブルの十字の輝線が出るので、これが一つの十字線になるように合わせ、その状態を保ち目標に向け撮影する。 この合焦では、眼視による目標設定と合焦とで、アイピースとデジカメの交換をしていくので、両者同一点で合焦するような組み合わせがあれば理想であるが、前出のBaader PlanetariumのMPCC-VIOと反射鏡の付属パーツの組み合わせで支障のない組み合わせができた(直焦点撮影の場合)。


以上の考察から、現在の撮影方針

北極星で極軸合わせの赤道義追尾、明るい星で十字線合焦、露出時間は120秒以下、ミラーアップしてタイマー利用でベランダから退去。4枚以上撮影、ダークフレームを忘れるな。

 

未決

周辺減光補正の簡単なやり方、自在にフラットフレームを作る方法。

画像処理の最適プロセス。今のやり方:

Canon Digital Photo Professionalで前処理(夜空の明かり処理と明るいところの抑え)

ー>DeepSkyStacker(ダークフレーム減算、加算処理(加算枚数で除算してないみたい)、明るさ調整

ー>周辺減光補正

ー>その他トリミングなど 

これでよいか?

 

初めての星空

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  デジカメに写った画像に腰を抜かした。

昨年2011年9月、手順に従いM27に鏡筒を向け、薄暗い何かがあった。 わけも分からずキヤノンのデジカメを取り付け2分露出。 写っていたのがこれ。 

 バックグラウンドの明かりとデジカメのノイズの限界露出。 四苦八苦の極軸合わせ、焦点合わせ、ぐらつく木製ベランダ天文台で、息を凝らした末撮った3枚のうち星の流れの小さいものを選んだ。 デジカメもセミプロの方のような改造もなく純正そのまま。 何の加工もしてない画像です。

2011-09-stars-011.jpg

2011年9月27日20:08撮影 キヤノンEOS KissX4 ISI3200 露出120秒のシングルショット ケンコーSE 250N CR 25cm f120cm反射鏡 Baader Planetarium MPCCコマコレ使用 EQ6PRO赤道儀 撮影地:長野県立科町