まず、一眼レフ新改造デビュー
7日、誠報社改めスターショップからEOSKissX4の「新改造」が戻ってきました。C-MOSセンサーの手前の光学フィルターをHα線まで通すものに替える改造で、電離した水素原子が発する赤く見える光を標準フィルターより10倍の感度が上がるようです。
この改造で失われる機能はホワイトバランス。完全にマニュアルタイプになり、カメラに備わっている太陽光とか日蔭とかあるいはそれらを自動選択するホワイトバランス機能が使えなくなりました。改造と同時にマニュアルホワイトバランスが設定されて戻りました。これ、素人がやってもなかなかうまくいかないんですが、比較的広範囲の光の具合で使えそうですが、太陽光、日蔭などの選択ができないので手動で調整しなきゃいけないんですが、カメラの「WB補正/BKT設定」で微調整してもなかなかうまくいきませんでした。天体カメラにするのであきらめています。
夜空を写しても、空が色づいて写ったり、適度に灰色のダークに映ったりで、なかなか定まりません。RAWで撮って処理することに徹しなければならないようです。
ということで、星野らしきもの2題。「新改造」とEF40mmF2.8STMパンケーキレンズ、AstronomikのEOS Clip CLS Filter、ナノトラッカー、それにSLIKの三脚とManfrottoの3軸ギア付雲台の計6点セット。タイマーシャッターを入れて超都心星空撮影7つ道具と言うべきか。
一枚目はリオン座のベテルギウスから天空の方へふたご座の間、この日11日は薄雲もなく寒波で強風、月明かりも無いと撮影日より。2月8日のこともあるので、薄雲に反射する都会の光を嫌って、「新改造」にCLSフィルターを挟んで、40mmパンケーキレンズで撮ってみた。この日の標準感光は、f=2.8、iso=1600、露出5秒、30枚撮影とした。f=2.8、iso=1600に都心では5秒が限界。10秒でやれないことは無いが、、DeepSkyStackerの結果がこれです。
フラットはうまくいったようですが、左下に都心の光がなんとなく入っている。よく見ると中央から左の方、左端から1/5あたりに星の固まりの周りが赤く染まている。他にもないかなとよく見ると、この小さい画像ではわからないが、中央より下の右の方に小さな丸く赤く染まったところがあるではないか(*^。^*) これは何だ?
調べてみると左の方が世にいう「バラ星雲」であった。右の方がステラナビゲータV9から、NGC2175、2174モンキー星雲としておきましょうか。バラの方は確かです。超都心でこれらの痕跡が映ったのは「新改造」の成果か(^_^;)
後日13日、250mmレンズで再挑戦してみたが、CLSフィルターなしで映し出すことはできなかった。Hαを通すCLSで可視光赤をカットする効果が絶大なのか?
二枚目は、オリオン座。これは違いをアップするため1/2にトリミングしてある。
赤い色がクリアに出ている。で、これ、三ツ星の左の星の上、実は影が出てるんです。これも「新改造」の成果のようだ。これは後日13日250mmでの撮影でも確認できました。
13日に250mm、CLS無しでM42鳳凰の所を撮ったのがこれです。比較のためトリミングして拡大してます。
除夜の鐘をききながら撮った時よりも赤い羽根がひときわ大きく広げて見え、さらに上の方のNGC1973の色づきが認められるようになりました。中の大文字みたいなのはさすがにわかりません。私的には無改造の方が、赤一色になった鳳凰より好きです。
「新改造」雑感:
オリオン大星雲なんかはやたら赤くなり、無改造より美観を損ねる。多分バラ星雲や、普通には見られない星雲なんかは大いに使うべし。
淡いHα星雲はカメラに光が届いても、都心の光の反射で赤い可視光の中に埋没してしまうみたいで、CLSフィルターを併用する方がいいのかもしれない。光フィルターのスペクトラムを合わせてみると、長めの波長のところはHαの辺りだけ通す感じになるようだ。 新改造とこのフィルターの組み合わせは、Hαを含む640nぐらいから670nぐらいまでをフルに標準カメラより10倍ぐらい通すので、超都心の星空撮影にかなりいいんではないかと思う。
備忘録:
NGC2237 バラ星雲 散光星雲 いっかくじゅう座(オリオン座の左隣り) 散開星団NGC2244の周りに広がる。
NGC1973 オリオン大星雲のすぐ三ツ星側にある散光星雲 (reflection nebula 反射星雲)。細かくはNGC1973、1975、1977からなる。