私の推薦コースは両国で降りまっすぐ北に押上まで歩くコースで、歩く方向に遠景から近景まで楽しめるが、今回はいきなり押上駅で降りる。京成橋の近くの駐輪場の上からのスカイツリー、隣の馬鹿でかい付帯するビルがいかにも邪魔。
駅前は整備が進み、「押上自由市場」なんかのスペースが確保されている。人が出れば様になるのだが、まだ少ない。
TVで美しく報道されたが、もとは争えない。白く化粧直しした「業平橋」改め下町然とした「とうきょうスカイツリー駅」。
浅草方面に源森橋に来ると、川面に映るスカイツリーは屋形船やそれらを包む木々などとともに絵になる。
墨田公園まで来ると、丁度良い遠景にスカイツリーがあり、このあたりでのんびりとベンチなんかに座って、時々鳥のさえずりや、子供たちの歓声を聴きながら、時にはスマートフォンなんかでメールのやり取りや今日のニュースは?なんて過ごすのが一番よさそうかな。
浅草まで来るとこのくらの眺め、建物やビルの一部にツリーがあり溶け込んでくる。
浅草まで歩きながら考えた。むかし、インテルのCEOだったアンドリュー・グローブという人が、ビジネス環境を構成する要素がそれぞれいち様に変化している間はいいが、その中で一つだけ特出して変化するものがあると、それが10Xの力となり、今までのルールが全く通用しなくなり、180度にも近い戦略の転換が無い限りビジネスを存続できなくなると言っていた。
スカイツリー開業は10Xの力になるんだろうな。人の流れがガラリ変わり、少なくともこの界隈は見違えるような下町ミックスの文化・商業・サービス・エンタテイメントの地区になるんだろうな。その分人を吸い取られた他がさびれる。さびれるところは今のところ気づかずにいる。知らないうちにさびれちゃう。
これを「ゆでガエル」のように気付かずに、と言うと、実はこれ真っ赤なウソらしい。カエルは変温動物なもんだから、低温から温度を上げていくと適温になるに従って活動が活発になる。勢い余って器から飛び出してしまうらしい。毎日の小さな変化に気がつかないのは人間の方かも知れない。 いや無視して妥協しているのかな。気がつくと手遅れってとこか。何だカエルの方が環境に敏感ではないか。 いずれにしてもカエルに大変失礼なことを言っている人はそろそろやめた方がいいかな。
新宿副都心ができたころからずっと東京の重心が西に移動してきたが、ここにきて東に移動している。スカイスリーで浅草や他の東京の下町のステータスがぐっと上がるんだろうな。
どこか再開発されて、報道されて、いっとき人が集まる。ほとぼりの覚める3ヶ月も経ってから行ってみると、はや店じまいを待っているようなところを何ヶ所も見た。スカイツリーはそれらとは違うんだろうな。
カエルが茹であがるのはウソだけれど、10Xの力で横っ面を張り倒されるのは間違いないんじゃないかな。