2012年9月アーカイブ

 9月14日夜が更けて星が出た。日が変わり15日午前2時ごろ、機材を撤収する前にアンドロメダ銀河が天頂を過ぎて西側に入り、観察域に入った。せっかくなのでカメラにおさめてみた。

M31 2012-09-15-2 (8of11frms 60s iso3200).jpg

 ISO3200、露出60秒のフレーム8枚をDeepSkyStackerで処理ました。機材が限られているので、全体が入りませんが、中央の迫力のあるところの感じは映ったのではないかと思います。このくらい明るいと眼視で撮影位置を確認し調整できるのが楽です。


備忘録
M31=NGC224 アンドロメダ銀河 アンドロメダ大星雲 アンドロメダ座 239万光年 直径22-26万光年、秒速122kmで接近している。40億年後に天の川と合体するらしい。
星空観察で生じた課題と解決策を整理してみた。              改 2012-09

1.主鏡に取り付く埃

 空気の清浄な所だから埃は付かない? とんでもない。上に向けて蓋を取ったりしたりで、そのたびに蓋に付いた埃が落ちる。上に向けてると様々な埃が落ちる。風に乗って、ここはカラマツの高木があるので、時にはその葉が飛んでこないとも限らない。季節によっては花粉や、流れ流れて黄砂が降っている。
 こんなことで、上からライトを照らして覗いてみた。一面に白く埃が付いている。これを見てはどうしても洗浄したい衝動にかられる。先人の教えに従い年に一度は主鏡を洗浄することにした。

 主鏡の取り外し
 光軸のアライメントを乱さないように、台座ごと取りはずしそのままで水洗いする。同じネジ位置に戻せるように印を付けておく。主鏡にダメージを与えないように慎重を期す。立てて外すか、寝かして外すかどちらがよいか。今は立てて外しているが、寝かしての方か安全かも知れない。

 使用する洗剤、水きり剤
 台所用の中性洗剤。蒸留水があればもっといいのかな。以前ドライウェルを使用していたが今は使用を控えている。
 洗浄場所
 シャワールーム。

 洗浄と乾燥
 シャワーで鏡面の埃取り、あらかじめ薄めた台所用中性洗剤をかける。少し時間をおきシャワーで水洗い。2度ほど繰り返しても取りきれないしつこい付着物はシャワーを流しながら柔らかいものでふき取る。シャワーは温水がいいかな。洗剤が取りきれたところで仕上げの水を流す。仕上げの水はきれいな水(湯ざまし、蒸留水あるいは精製水(って何だ?)(無水エタノールやドライウェルの薄め液を使用している方もいる)を使い鏡面を立てて水を切る。必要に応じてブロアで水滴を吹き飛ばす。このとき反射鏡を支えている抑えの隙間に水がたまっていて、それが後になって流れ落ちないようにこの時点で確認して水を吹き飛ばしたり吸い取ったりしておく。隅々に水がたまっているので乾燥はあせらず時間をかけるように。

 さて、ここで曇り止めを吹きかけたらどうなのだろうか。よくわからないから試してない。識者に聞いてからにしたい。

 取り付け
 ネジ穴や鏡筒間のアソビをなくすように筒は立てた状態で取り付け作業をした方がいいかな。
 洗浄中に反射鏡の中心を示すマークが剥がれたらどうする
 同じ直径の円の紙を切り取りその中心を開けてサインペンか何かで印を付け、そこにドーナツ状のシールを貼る。(紙を乗せたら鏡が曇り、なかなかとれなかったので何か問題があるかもしれない。洗浄前に貼るようにしよう。)

 新たな疑問
 ドライウェルを使ってみた。使うと確かに水がよく切れるが、どうも何か薄くコーティングされているみたい。乾燥してから鏡面をよく見ると青く反射している。いいから加減にドライウェルの薄め液を鏡面に流しているので、当然濃淡が出る。青い反射光も少し斑がでる。
 これ星の見え方に問題ないんだろうか。
 よく分からないので、今のところドライウェルを使わずに水滴をブロアで吹き飛ばすことにしている。この場合は仕上げはできるだけ水道水よりも、湯ざまし水、さらにできれば蒸留水がいいかな。
 無水エタノールは水きりに有効なのかな。まだ使用してない。溶剤でもあるので慎重にしたい。確かにセンターマークに付けた糊は間違いなくとれるのではないかな。
 ドライウェルと無水エタノールの件、識者に聞かねば、と。

 今はできるだけ混ざりの少ない仕上げ水で流し、ブロアーで吹き飛ばすことにしたい。

2.主鏡、副鏡に取り付く露
 何か写るはずが予期に反し写らない。鏡筒をのぞいてみてびっくり。主鏡の半分ぐらいが結露している。副鏡を見て驚いた。結露どころか濡れて水が流れているではないか。考えてみれば鏡筒の外側が夜露でびっしょりと濡れていることが何度もあった。上に向けた反射鏡に夜露が降り注がないわけがない。こういうときに空を覗くのが間違っているのか。

 鏡筒内に乾燥した空気を送り込み結露を取る方法、車の運転中にクーラーをかけて乾いた空気をフロントガラスに吹き上げて取るのと同じような方法。
 反射鏡を温めて露がつかないようにする方法。(どうやって鏡筒や反射鏡を温めるんでろうか?)
こんなのがあるようだ。

 鏡筒内に乾燥した空気を送り込み結露を取る方法をやってみた。

 まずシリカゲルの購入。 袋詰めのとバラのをamazonから取り寄せた。
 
 さて、ポンプはマット用の空気入れを使い手動で送り込むとして、をどうやってこれに空気を送り込んで乾燥空気を鏡筒に送り込むか。

 家の片隅にあったエアーマットの空気入れ、台湾製のダブルアクションポンプというやつで、20年ぐらい前に買ったもの、とりあえずこれを使ってみた。
 この時空気の還流を諦め、外気を乾燥材を通しこれを鏡筒に送り込む簡単な構造にした。
 使用したものはこのポンプに水道用ホースだけ。シリカゲルはビニール袋に入れて輪ゴムで閉じただけ。シリカゲル粒子を吸い取らないようなフィルタ風のものはポンプに付いていた。
 水道ホースは固くて重くなじまないので、後日、軽いドレインホース(クーラーなんかの水を外に流す時などに使う白い管)に替える。

2012-09 airpump 003t.jpg

 結果。曇った反射鏡はポンプのピストンを10往復ぐらいで解消した。当分これでやろう。

P.S. このポンプはピストンの行き帰りともに空気が噴き出て能率がいい。エアーマットに使うときのノズルを使うと反射鏡の洗浄後の水滴の吹き飛ばしに使える。かなり強力。

3.斜鏡の埃はどうやってとるのかな? 外さずに取りたいのだが。
 
(続く)

 



2012年7月8月の星空

 昨年はM57とM27はともに昨年反射鏡を向けて、画像に写ったのを見て、こんなのが星空にあるんだと腰を抜かしたもんでしたが、今年は腰を据えて捉えてみようと、その時を待っている。
7月8月で捉えられた無改造カメラによる結果を紹介します。

 ともに7月17日の深夜の撮影です。リング星雲M57は去年撮影してみて様子が分かっていたので、その経験から、リングの所が非常に明るいので飽和状態に白くのっぺらにならないように、露出を抑えてシャッタースピードを短くしていきました。この画像はISO1600で露出14秒(リモートシャッターで15秒に合わせても14秒になってしまう)のショットを9枚をDeepSkyStackerで処理し、適当にトリミングしたものです。

M57 2012-07-17t(9of10frms 14s iso1600).jpg 周辺の赤みがかったのが出ています。左上、右下のあたりが薄くなっているのは可視光では見えない波長なのか何かが広がっているのでしょうか。これはドーナツ状にガスが広がっているのでしょうか?下の亜鈴星雲M27は球に見えます。

 M27は白鳥座のアルビレオから見て、こと座と反対側の辺りで、や座の先からたどってアルビレオ側にM字形の並びの星があり、Mの真ん中の星の下に見えます。双眼鏡で見えました。晴れた夜は25㎝の反射鏡でブルーの綺麗な姿が観察できる時もありましたが、撮影の方は今シーズンは何度も撮りましたが、なかなか良いものはありません。

 DeepSkyStackerしてみても。眼視で綺麗な姿を見せたのですが画像はいまいちです。紋様を綺麗に写すには慎重に適正露出を出す必要があるようです。去年の画像に比べ見劣りがするのはこのためのようです。

M27 2012-07-17-24(16of20frms 14sxiso6400 30sx3200).jpg この付近は本当に星が多いんですね。



備忘録
M57=M6720 リング星雲 こと座
M27=6853 あれい状星雲 こぎつね座

 2012年7月8月の星空

 カメラの最高感度で露出120秒以下で10枚単位で球状星団を写してみた。球状星団は可視光でその星の集まり具合を楽しむので、無改造カメラのターゲットに向いているかも知れません。

 M3です↓。7月30日に撮りました。ISO3200 露出10秒の8枚とISO3200 露出15秒の8枚をDeepSkyStackerで合成しました。

M3 2012-07-30-4(8of10frmsx2 10s and 15s iso3200).jpg
 M5です↓。7月17日に撮りました。ISO6400 露出60秒の6枚をDeepSkyStackerで合成しました。

M5 2012-07-17-3(6 of 8frs 60s iso6400).jpg
 M13です↓。7月17日に撮りました。ISO6400 露出30秒の8枚をDeepSkyStackerで合成しました。

M13 2012-07-17-4(8 of 10frs 30s iso6400).jpg

 M92です↓。7月17日に撮りました。ISO6400 露出30秒の8枚をDeepSkyStackerで合成しました。

M92 2012-07-17-3(8 of 10frms 30s iso6400).jpg
 渦も巻いていない星の集団がなぜこのように球状で均衡を保っているのでしょうか?


備忘録:
M3=NGC5272 りょうけん座
M5=NGC9504 へび座
M13=NGC6205 ヘルクレス座
M92=NGC6341 ヘルクレス座

 2012年7月8月の星空

 7月8月はおおくま座(ここからはカラマツが邪魔して尻尾の辺りしか見えない)とりょうけん座(これもうかうかしていると白樺に沈んでしまう)の星雲に挑戦してみた。
 カラマツと白樺に北斗七星が半分隠れ、尻尾のあたりが刻々と沈んでいく中、時刻的に今でないととややあせりながら鏡筒を向けてみた。

 M101は双眼鏡で覗いては影も形も見えず、25センチの反射鏡を通しても、月の夜空も明るい中、初めてなので眼視では見えているといえばそれらしくも あり、目の曇りと言えば何も見えなくもあり、ここはひとつ電子の目で確認ということで60秒ほどの露出で、、見えるではないか!

 120秒までの露出、10枚のフレーム、1枚のダークフレームでDeepSkyStackerによる画像処理を前提でM51とM101を何回か撮ってみた。

 8月6日にM101が比較的はっきり撮れました。

M101 2012-08-06-2.jpg 2012年8月6日20:18-20:39撮影 撮影地:長野県立科町 
ケンコーSE 250N CR 25cm反射鏡 Baader Planetarium MPCCコマコレ使用 EQ6PRO赤道儀 キヤノンEOS KissX4無改造 ISO6400 露出60秒のショット11枚をDeepSkyStackerでスタック画像処理。

 渦巻の枝のところどころの明るいところが名前の付けられた恒星の巨大な集落で、これらを渦巻状に取り込んで、ひとつの巨大な銀河となっているなんて、不可思議を通り過ぎて宇宙の妖怪を垣間見ているようですね。 

 翌日8月7日日が沈んで間もなく、月が出るまに、ターゲットが白樺に沈む前に、今シーズン最後のチャンスとあせりながらM51を撮ってみたのがこれです。ISO6400 90秒のショット10枚でDeepSkyStackerでスタック画像処理しました。

M51 2012-08-07-1.jpg

 後になって気がついたのですが、この時すでに反射鏡などが結構結露していた状態だった可能性が濃厚。 ということはM101もM51もだまだ可能性がありそう。

 備忘録:
M51=NGC5194 NGC5195 子持ち銀河 
M101=NGC5457 回転花火銀河