2013年1月アーカイブ

 超都心ナノトラッカーを使った星空撮影の目標は、オリオン大星雲の次はプレアデス星団です。

 2013年1月30日は平日の木曜日、20:30頃はまだ都心の活動は続き、所どころのギラついた明かりが目に入り、満月を過ぎたばかりの月が昇って、空全体が明るく、プレアデスも木星の西北側にかすかに見える程度でした。小型の双眼鏡を使って辛うじてその姿を認められます。それでも光学系はオリオン大星雲のときと同じ標準望遠レンズの250mmで、iso=1600、露出10秒、f=8の条件を、辛うじて、バックグランドが少し明るい程度で確保できました。後はあの青い光がどのくらい届くかです。

 結果は青い光は、一枚一枚の画像ではバックグランドの光に完全に埋もれてしまっていた。オリオン大星雲の赤い光とは大違い。青い光はより散乱されるので、さもありなんということか。 

 それでも、なんとか明るい星の周りがぼーっと青くにじみが少しだけ広がりかけているところまで出ました。この機材ではこの辺りが限界かな。 と言うよりDeepSkyTrackerの凄さかな。

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2013年1月30日20:30頃撮影、撮影地:都心、ナノトラッカー、SLIK三脚、Manfrotto雲台、EOSKissX6i無改造、標準レンズEF-S 55-250mm 250mm、f/8、露出10秒、40枚を、Dark、Flat、DarkFlat、BiasとともにDeepSkyStacker、さらにDigitalPhotoProfessionalでトーンカーブ調整、1/2にトリミングの後、縮專で掲載サイズ縮小。

 次はAstronomikのEOSClipCLS filterを使って、200mmの安物望遠だけれども、どういう結果が出るかですね。 

 

備忘録

M45 プレアデス星団 おうし座、散開星団 昴(漢名ボウ、和名すばる) 青い光は星と関係なく周辺の星間ガスが反射して光っているとのこと。
上から、2連の小さい方:プレイオネ、明るい方:アトラス、下にさがってアルキオネ、左下にさがって:メローペ、右下にさがって:エレクトラ、エレクトラの右横の小さい星:ケラエノ、右上にいって:タイゲタ、左上に行って:マイア、マイアの右上の2連の星:アステローペ

 超都心で星空撮影するナノトラッカーの機材をそろえた。この機材で北極星の見えないマンションのベランダで、どの程度精度よく設置できるかを試してみた。

 北極星が見えない、星のドリフトで合わせる方法、この機材でとてもじゃないが面倒でできない。頼りは方位と仰角を雲台Manfrotto モデル410の3軸のギア表示盤とカーナビのGPSによる方位と緯度、これでとことん合わせざるを得ない。

 直接方位を決められる雲台と方位計ならその方が手っ取り早いが、出来なかったので、ベランダの壁面を基準として方位を割り出した。

 基準はベランダの壁の方位、これをカーナビの方位計で割り出してみると北から西へ7度、時に9度と出るときもある。まず7度に設定して進める。次の仰角(緯度)は携帯電話のGPSでも同じ値なのでこれを使う。

 三脚の設置位置を決めて、ここで雲台の1軸(平面軸)の方位をおおよそ決める、この状態で2軸と3軸のギアで水平を出す。水準器はナノトラッカーを取り付ける3軸面にあります。ナノトラッカーを初めにベランダ壁に1軸面の調整で平行にしておいて、方位偏差分だけ動かして方位を決める。 

水平を確認して、3軸のギアで仰角分だけカメラを乗せる面を傾ける。これでナノトラッカーの軸は北極星に向いているはず。

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 Manfronttoの雲台の目盛合わせにひと工夫して、設置を目盛のマークだけでできるようにして合わせた結果は、極めて良好(*^。^*)

 ここまでは設置精度ですが、星空で検証するとなると追尾精度となる。 設置精度としては前のブログで一応±2度程度。

 レンズ250mm望遠側で、10分の露出でどの程度ずれるかで評価した。方位角は8-9度が適当らしい。その時の気分によって、良かったり悪かったり、点にはならない。仰角のエラーも入るのかもしれない。このちゃちな装置の限界かな。それでも250mmレンズで30秒までだったら、設置して一発目から星は流れない。

 この方法でのここでの結論:総合的に追尾精度として、

レンズ250mm:60秒以下。
レンズ55mm:5分以下
レンズ40mm:6分以下
レンズ18mm:10分以下

で、使用することにしよう (^_^;)

 超都心の空のバックグラウンドの明るさでは、iso=1600、f=8で、休日夜10時以降で、露出30秒位までなので、スペック的には十分たえられる。

 山奥での撮影条件はf=4.8 iso=6200 60秒だったから、 250mmレンズはf=5.6なので、60秒とすると光量で3割減程度なので、その分撮影枚数を増やして山奥での高感度撮影にも耐えられるようだ。

 のぞき穴で極軸をした場合と比べて、仮にのぞき穴の方が良いとしても、どうも精度は極軸よりも他のメカ的な限界で制限を受けているような気がしてならない。その時の気分で、星が流れたり流れなかったり。これ5分以上の露光の場合です。 (後日の1時間の追尾で見ると星の流れが直線的でなくぐるり廻ったりするので、中のメカに原因がありそう)

 ここから、本題からそれるが、使用する充電池は電圧が低いので要注意のようだ。使えることにはなっているが、大容量の方が確実のような気がしていて、ToshibaのIMPULSE 2400mAhを使っている。どうも1900mAhのやつは心もとない。

 あとは、カメラを乗せるときの加重のかけ方の工夫でバックラッシュ・ガタ・摩擦の影響を少なくする。特に望遠レンズを乗せたときに要注意。回転と反対方向に加重気味にしておくとよいかな。

関連ページ
ナノトラッカーとEOSKissX4を使うページ

 

 2013年の事始め、ナノトラッカーを使って超都心でどこまで星空撮影ができるか準備が整った。初撮りの顛末と結果をまとめてみた。

1.まずEF40mmf2.8STEを使ったオリオン大星雲から。

 除夜の鐘を聞きつつ初撮りをスタート。ナノトラッカーは準備よろしく、明るいうちに完全設定しておいた。 使用機材のうちカメラは新調のEOSKissX6iを使用した。本体とレンズの間にAstronomik EOS Clip CLSフィルターを装填した。合焦はライブビューでX10のビューを拡大鏡で合わせる。

 フィルターを通しているため空が青く出る。

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2013年1月1日0:32-0:40超都心マンションベランダで撮影 ナノトラッカー、EOSKissX6i、Astronomik EOS Clip CLSフィルター、EF40mm、f=6.3、iso3200、露出11sx8 11s画像の8枚をキヤノンDPPで加算平均、400x300ピクセルをJtrimで切り出し

 DeepSkyStackerはうまく処理できなかったので、DigitalPhotoProfesionalの多重合成機能を使った。少し雰囲気が出たといったところ。もう少し露出を開けたらもう少し浮かび上がったかもしれないが、下の画像と比べて見劣りがするのは、大みそかの光害があるのかな?。

 

2.EF-S 55-250mm ISで撮ったオリオン大星雲

 元旦の撮り初め。 撮るまでのロスタイムが2時間ぐらいあった。予備撮影をすると露出5秒程度で星が流れる。仰角方位など、あれこれやって、極軸合わせからやり直したが治らない。よくよく確認してみると、木星を見ていた(+_+)。気を取り直し恒星で確認、同じく星が流れる。やはり望遠はダメかと、ふと見るとナノトラッカーの点滅が何かおかしい。電池が早無くなっていた。電池を取り換えた。

 あれ?今度は星が躍る。ベランダの振動か、ウォームギアのバックラッシュか、マンションの揺れか悩んだが、結局レンズの手振れ防止がONになっていた。何のことは無い、手順を踏んでいれば装置は完璧であった(-_-;) この2時間でオリオン座もちょうどいい位置にきていた。(^_^;)

 EF-S 55-250mmの最望遠側250mm、光害カットフィルターなしの画像です。DeepSkyStackerはRAW画像での解析は上手にできなかったのでjpeg画像で行った。

m42-20130101-250mm10s1600-dstr.jpg

 2013年1月2日0:32-0:34超都心マンションベランダで撮影、CLSフィルターなし、EF-S 55-250mm F4-5.6 IS II、f=250mm f/8、iso1600、露出10sx10、うち8枚のjpeg画像をDeepSkyStacker処理 、トリミングののち縮専で400x300ピクセルに縮小

 

 結構いけるじゃないか、ここまで出れば超都心でも結構楽しめそう。これで月がなければもう少し画質はアップしそうだが、甘いかな。

 都心でも星空撮影できないか。光害カットフィルターでどこまでできるか。それに簡単に持ち出したい。ポータブル赤道義、三脚、カメラならどこにももちだせそうだ。ナノトラッカーで夜空を撮影する機材をそろえた。

 ここでのトピック:ナノトラッカー、設置精度、必要機材

 まず、かなりしっかりした手持ちのSLIKの三脚が使える。これに付いている自由雲台は極軸合わせなど狙いを正確に合わせるには不向き。それで3軸調整ができる雲台Manfrottoのモデル410、かなりごつくてもJunior Geared Head。ネジ径変換ネジを同時に購入。水準器と角度目盛盤がついていてなかなかいい。

 ポータブル赤道義は使う要求仕様に合わせて、値段とシンプルさでナノトラッカーにした。どこも19800円だがヨドバシカメラが10%ポイント付く分安かった(^_^) これにSLIKから外した自由雲台を付ける。

 ためしに組み立てて気が付いた。カメラを乗せるとウォームギアのガタが目立つ。ネットでは分解もあったけれど、メーカーに直接聞いたとところ、「直してやるから分解するな」とのことで、送り返して調整してもらった。お蔭で今は極めてしっかりしている(^_^)

 カメラはEOSKissX4、これに超都心でも撮るので光害カットフィルターを付けたい。レンズを変えても使えるようにAstronomikのEOS Clip CLS Filterを購入。これはカメラ本体とレンズの間の隙間にはめ込む優れもの。ただ後で気が付いたのだが、EOSのAPS-C用のレンズは出っ張りがあるので使えない。このためレンズ専門メーカーの安いレンズをこのために購入したが、後でUP予定ですが、これもとんでもないコマ収差で使えなかった。ヤスカローレンズだった(-_-;) 結局レンズはEF40mmF2.8STMパンケーキレンズの組み合わせとあいなりました。あとはキヤノン純正レンズで光害カットフィルターなしの撮影で。

 極軸合わせは、きわどいところで北極星が見えない西向き、GPSと仰角で合わせる。GPSは海外のレンタカーを使うとき用に用意してあるGarminのnuvi2565。これで結構合わせそう。

 これを全部組み合わせたものがこれ↓です。結構重いので手軽に持ち歩くとはいかないけれど、ポータブルとしてはいけそう。

2013-01 ナノトラッカー 006.jpg

 三脚のエレベータ部分を伸ばしたところ。ナノトラを選定した理由の値段以外の最大の理由なんですが、雲台取り付け面が一番広い面なので、写真のようにカメラまで取り付けても、安定して見えませんか。

 下の水平面方向ギアで方位を決めて、黄色く見える水準器を使い上の二つのギアで水平を決める。この後、目盛を使って上のギアで仰角だけナノトラッカーを傾ける。これでどの程度撮れるかな。

 

 まとめ

ポータブル赤道義 ナノトラッカー
三脚 SLIK カーボン724FA
雲台 3軸調整できる雲台 Manfrotto モデル410と、SLIK 724FAについていた自由雲台
カメラ EOSKissX4またはEOSKissX6i
カメラレンズ EF40mm F2.8 STM パンケーキレンズ、EF-S 18-55mm f3.5-5.6 IS II、EF-S55-250mm f4-5.6 IS II、EF-S 18-135mm f3.5-5.6 IS
光害カットフィルター 
方位計 Garmin nuvi2565 カーナビ
タイマー・リモートシャッター 中国製の安物だが、電池が長持ちして非常によい。

 設置精度の皮算用

 仰角は±1度ぐらい出そう、方位角はGPSの方位精度がどの程度か分からないのですが、±1度としても、カーナビの方位から、三脚に乗せたナノトラッカーに落とす精度もそれほどでないので、総合で希望的期待値で±2度ぐらいなのかな。 これだとどのくらい流れるのだろうか。

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この装置での精度、星の流れの実写画像(200mm望遠で1時間露出)のブログはここにあります。-> ナノトラ vs お手軽経緯台LCM 対決   (2013・4・9 追記)

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 注意事項

 ナノトラの駆動はニッケル水素充電池の使用はできるが、日々フル充電したものを使用すること。回路は動いていてもギアを駆動しない。すぐなくなる。経験則ではどうも容量の大きい方がよさそう。Toshiba IMPULSEの2400mAhのほうがよいように感じる。

 カメラ用充電池はより長く使用できるが、予備電池は必須。

関連ページ
ナノトラッカーとEOSKissX4を使うページ

 

 

 ナノトラッカーを使ったためし撮りで気が付いた。

  カメラとレンズは今まで安易に考えていた。ところが星空の画像を見て驚いた。画面の四隅の星に羽が生えているではないか。これがコマ収差というものらしい。カメラレンズにこんなひどいのがあるとは思わなかった。

2012-12-27test18mm3s3200ul.jpg 18-200mm F3.5-6.3レンズの18mmのところで撮ったもの。画面に写っていた左上隅の方を400x300ピクセルを切り出したスバル。 羽は四隅のどこでも中心に向かっています。ピントの甘さもあり目立ちます。

 いろいろ調べてみたんですが、このレンズは18㎜の側では羽が中心に向かい、200mmの望遠側では外に向かって羽が生えて映りました。明るい時に太陽が反射して光っているところを見て確認したんですが、光の芯になっているところが赤くなっているところを見ると色収差も重なっているらしい。

 使用するカメラレンズを見直してみた。このズームレンズはレンズ専門メーカのもので、いわゆるキヤノン純正ではありません。どことは言いませんが、残念ながら星空撮影には不採用としました。

 手持ちのレンズを星空でコマ収差を確認し再評価してみた。手持ちのキヤノンレンズはコマ収差を気にしなくてもよさそう。

キヤノン EF40mm F2.8 STM パンケーキレンズ 一番良かった。今のところ満足。

キヤノン EF-S 18-55mm IS II、キヤノン EF-S 55-250mm IS II ともにEOSKIssX6iのダブルズームレンズ。拡大表示で良。

キヤノン EF-S 18-135mm IS これもなかなかいいが、過去に撮った星空を見直すと拡大表示するとコマが出ていたが、全体の画像として見る限り、端だけをことさら拡大して見なければ、まあ許容してよいかな。 

 過去の画像をひも解いてみると、我が反射鏡SE250NCRとBaader PlanetariumのMPCCの組み合わせは実にいい線いっている。どの画像にもコマは出てない。