2013年3月アーカイブ

 それらしき日に超都心で撮影した西空の画像の中から、パンスターズ彗星を探してみた。

 いくら目を凝らしても、双眼鏡を駆使しても見つけられなかったパンスターズ、微かに光跡が見えてもそれは遠方の飛行機雲の反射だったりして紛らわしいのも多いのですが、それはここ、強力な武器ステラナビv9がある。可能性のあった3月16日の西空メクラ撃ち撮影の中から、可能性のありそうな1枚を候補に選んだ。

2013-0316-panstarrs-014.jpg

撮影場所は超都心 時刻は3月16日18時42分 EOSkisssX4新改造  40mmパンケーキレンズf/2.8 iso/1600 2秒 光害カットフィルター使用してるので青く写っている 

 時刻はカメラ時間で18時42分。この画像の上に、新月から4日目の月が出ていて、さらにその上の方に木星が明るく光っていました。 まだかなり明るい西の空の画像の上の方に、横に並んでいくつかの星が拡大すると出てくる。 ステラナビによると、うお座の方角、星座線がたどれる。ステラナビと同じ星が画像の中に認められるではないか。

panstarrs-navi.jpg

 ステラナビもパンスターズ彗星を入れて同時刻に合わせる。ステラナビと画像を比較しながら、画像に写る星の位置を確認した。

2013-0316-panstarrs-014mod2.jpg

 黒く囲った丸の中に星が認められる。線をたどりパンスターズ彗星の位置を特定する。光跡があるではないか。2重丸で囲ってみる。 

 これぞまさしく飛行機の光跡ではなく、超都心でとらえたパンスターズの痕跡。 わかりやすくトリミングしたのがこれ↓です。

2013-0316-panstarrs-014tr.jpg

 中央にうっすらと見えるのがそれです。贔屓目に見ると、なんとなくぼやけていて、再び贔屓目に、そうだと信じながら見ると、上の方、やや左に向かってうっすらと白っぽくぼけて写っている気がしませんか。無理に認めていただかなくてもいいんですが、信じていると、やや満足感が出てくるんですね。 電子の目はすごい。

 同じようにして探し出したもうひとつのパンスターズ、前日の3月15日のしかも同じ時間帯18時41分ごろの画像から、これは露出時間1秒のものを状態のいいやつを6枚選んで、DigitalPhotoProfessionalで加算平均したものを、同じ位置でトリミングしたものです。前日ですから、パンスターズは左側にきています。 彗星に合わせて重ねたのでアンテナがぼけてます。

2013-0315-panstarrs-6avetr.jpg

 中央から左の方に、左端から1/6あたりのところ、総露出時間が6秒だけあって、こちらの方が気持ちだけ姿を現わしているようにも見えます。 気のせいかな?

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 ここで気が付いてしまったのですが、一番上の画像はやけに周辺減光がある。よくよく調べてみると、カメラにレンズデータが入ってなかった(・_・;)

 EOS Utilityソフトのメイン画面の所から、「カメラの設定/リモート撮影」で、「周辺光量補正」からデータをカメラに取り込んだ。 参考までにその画像を載せておきます。 

2013-0316-panstaerrs-012-1.jpg

 並べてみれば一目瞭然、補正してあるときれいですね。 

 

 

 

 

 DeepSkyStackerに関する使い方や経験を備忘録としたものです。

 ここでのトピックス:DeepSkyStackerの使い方、簡単設定、推奨設定、3.3.3 beta51、カメラレンズ補正EOSの場合、画像補正の実行ボタンが見えない

 画像補正の実行ボタンがwindows10で完全に見えなくなる

 Windows7で使用していた時はDSSした後に画像補正するとき、中央下のボックスの下の「Apply」「←」「→」「Reset」の画像実行ボタンがあって、それらが半分程度しか見えなくて、何とかボタンを押して操作していたんですが、windows10にアップグレードしたパソコンが軒並みどれもこれらのボタンが「完全に」見えなくなってしまいました。 今までは少しは見えていたんで何とかなったんですが、、

deepskystacker-trim.jpg 左図のように、windows7の時も下のところが切れていてきわどいです。

 以前から「日本語」が障害を起こしていると検討はつけていたんですが、やはりそのようですね。 完全な英語版パソコンで使用するしかありません。

 英語版パソコンにする方法:

「コントロールパネル」->「言語」で、「言語の追加」から英語を選び加え、その言語パックをインストールします。 「日本語」と「英語」の並びを「英語」を上にして再サイインすると「英語版パソコン」で立ち上がります。 英語版キーボードになりますが立ち上がってからタスクバーの右の方のボタンで何となく日本語キーボードみたいになり、不自由なく使えます。

deepskystacker-w10trim.jpg

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 結果をご覧ください!

 見事!実行ボタンが完全に見えるではありませんか。 しかもかなり余裕で出ています(^_^♪  背に腹は代えられません、DeepSkyStackerを使うときは英語版パソコンにして使いましょう。

 英語版から日本語版への戻し方を予め確認してからやりましょう (+_+)

2015.10.13



 カメラレンズ補正データの取り込み方 EOSの場合

 望遠鏡の鏡筒の場合の Dark Frame、Flat Frame、DarkFlat Frame、Bias Frame の撮り方は、「星空画像を補正する画像を用意する」にあります。 カメラレンズでの撮影でもやってもいいんですが、なかなかきれいに出ないんです、これが。 そこでせっかくキヤノンで用意したレンズ補正データを使おう。 面倒で時間がかかりますが、素人補正よりはるかにきれいにいきました。

DPP-LensComp.jpg 撮影したRAW画像を DigitalPhotoProfessionalで、画像を開きツールパレットで「Lens」の所からレンズ収差補正をします。 補正後の画像をtifフォーマットで保存する。 この場合Dark画像も同じように補正してtifフォーマットにします。 一枚一枚やるのが実に面倒 (・_・;)  ここで歪補正入れない方がよい。

 キヤノンのサポートセンターで教えて頂いたところ、レンズ収差補正したデータは「Rawデータ」+「補正データ」のセットで保存したあるだけで、画像情報そのものは元のままだそうだ。 

 このtif画像でDeepSkyStackerする。 Rawデータ使用時より10倍ぐらい時間がかかっちゃう。 理由は分からない。 1日がかりでパソコンも大変! 網状星雲なんか強力なHPデスクトップパソコンでも6時間かかった(・_・;)

2013.09.05

 DeepSkyStackerの最新バージョン3.3.3 beta51

 3.3.3 beta51がリリースされていました。 このファイル.rarの圧縮ファイルなんで、+Lhacaで解凍して使いました。  DeepSkyStackerの正式リリース版3.3.2をインストールしておいて3.3.3 beta51を解凍して使います。 何が変わったのかわかりません(-_-;)

2013.08.29

 DeepSkyStackerの簡単設定

 ある程度使うと使い方もなれるのですが、初めの頃はこの設定でいいのかなどよくわからず、不安のうちに時間のかかる処理を眺めたりしています。 「この設定でいいのかしらん?」なんていうときは、「Register checked pictures..」の「Register settings」でOKをクリックすると「Stacking Steps」の画面が出てくる。Wikiでは「この画面で設定の確認をしなさい」とありました。

deepskystacker-settei.jpg

 この画面に「こんな設定をしているよ」とか、「これだめだよ」なんてでてくる。「赤字の所を直せ!」というご託宣です。青字は「これでいいけど、変えたきゃ変えてもいいよ」、緑色の字は「Perfect!」っていう感じです。

 図の事例では、赤字で「警告!darkの露出はlightの露出と違ぜよ!」と警告しているところです。早速画像を取り換えました(・_・;)

 ここで、jpeg画像で処理した時の限界とか、使用するbiasやflat・darkの画像はisoをそろえたものでないといけないなんてことを教えてもらいました。

deepskystacker-recommend.jpg

 取り敢えずは、赤字の所を全部直すと安心して先に進めます。さらに推奨設定が「Recommended Setting」にあります。分かっていればここでなんでも最適設定ができちゃんだから親切ですね。

 ただあまり調子に乗って、パチパチやっていると、赤字の修正はいいのですが、やたらに青字の所を緑色に変えると、条件により青字の設定がいい場合もあったり、緑になると青に戻せないのもあるんですね。 一方通行のも結構あるんです。 もとに戻す場所を探して確認しながらパチパチやると、新たな発見があったりして、意外と楽しいです。

2013.03.13

DeepSkyStackerのページ その1 

  セレストロンのLCM経緯台は極めてお手軽で、お手軽星空撮影に使えそうである。 都心のベランダでの星空撮影を想定して、ノトラッカーと対決してみた。

1.まず一番の関心ごとである設置精度と、追尾精度。

 ナノトラッカーはギアを使う場合で±2度程度以上は難しい。LCMはカメラのライブビューにグリッドを表示させて、その中心にアライメントの星を入れることで非常に精度よく設置できる。 

 肝心の追尾精度、ナノトラッカーの方は、アルデバランに照準を合わせ、ズームで200mmの望遠位置、f/20、iso=100で10分を連続で6枚計1時間の露出時間

 同じくLCMの方は、アルデバラン、リゲル、ベテルギウスでアライメントをして、アルデバランは手すりにかかりそうだったのでベテルギウスを追尾、カメラ条件は同じ。(LCMのとき雲が猛然と出てきて危ぶまれたが、拡大して見ると星は見えていた)。 結果をdeepskyastackerで合成して繋げた。 LTtest-NANO-60s.jpg

LTtest-LCM-60s.jpg

 上がナノトラッカー、下がLCM。 LCMの方を左に90度回転すると同じカメラアングルになる。 LCMの方が良い。ただ、通常使うのはせいぜい60秒以下だからどちらでもいいかな。

2.値段と搭載重量
 どちらもほとんど同じ値段だけれど、ナノトラッカーの方は設置支援のため、manfrottoの3軸ギア付雲台を買ったので、出費は2倍弱かかっている。 またどちらも2kgの機材の搭載重量制限で、お手軽価格でLCM有利。

3.お手軽携帯性
 ナノトラッカーはSLIKの三脚に付けた雲台とナノトラで重さ3.5kg。 LCMの方は専用三脚、本体、充電池8個付、カメラを付けるアリガタを入れて4.0kg。

 どちらも4時間程度以上では電池交換が必要で、ナノトラは一時中断するが、入れ替えればほぼそのまま復帰する。一方LCMの方はアライメントをやり直す必要がある。 だた、ベランダでやる場合は電源を使う手がある。 ナノトラッカーがやや優勢か。

4.設置のお手軽設置性
 ナノトラッカーは3軸のギアを回して、水平を出し方位と仰角を調整するだけで、予め計測されているので5分程度。野外ではのぞき穴に北極星を入れるだけ。 LCMは水平を出し、場所日時を入れ、3つの星でアライメントをしないと使えない。少し失敗すると日時を入れなおすところからやり直しだが、アライメント後の機動性は圧倒的に高い。見えない目標にカメラを向けるのもLCMは自動で正確にできる。ナノトラッカーは難しい。 互角。

 判定はお手軽経緯台が優勢勝ちってとこかな。 旅先での携帯用だとナノトラッカーが判定勝ち。

お手軽経緯台を使ってみた
ナノトラッカーで夜空を撮影する機材をそろえた

 セレストロンの経緯台LCMにカメラを付けて超都心の夜空を撮ってみた。

2013-03-celestron 003.jpg

 鏡筒付きの90LCMを買いましたが、この経緯台だけを使います。

 この経緯台だけなら三脚付きでナノトラッカーと同じくらいの値段で買えて、星空のアライメントをかなりのところ自動でやってくれるので、北極星が無いところで使えて、星空がもっと身近になるんではないかな、という胸算用です。

 カメラは「新改造」のEOSKissX4です。 手持ちのビクセンのVCM 110L反射鏡筒についているアリガタ(というらしい)を取り外し、カメラに付けて経緯台にマウントしました。 

 ハンドコントローラーは、日時、場所情報を入れなければなりませんが、3つの明るい星をカメラのライブビューで中央に順次合わせると、中で計算してアライメントが完了する優れものです。 

 ベランダに置いて、西空の低い位置しか見えないもんだから、木星―オリオン座のリゲル―(ほかに見えるのが無いので近か過ぎてるが)アルデバランに合わせてみた。 何やら中で計算して「アライメント成功したよ~」と出た\(^o^)/

 カメラレンズが200mm程度だから、M42の辺りやスバルの所なんか、一発でカメラの中心に向かった。

 問題は追尾精度、30分ぐらい放置すると、画面で1/30ぐらいの大きさで8の字みたいに動いていた。ここで使ってる200mm望遠で30秒ぐらいまでなら流れずに使えそうかな。

  n2264-20130302-cls200mdrt.jpg

 アルデバラン-リゲル-ベテルギウスでアライメントした後、オリオン座の左上あたりngc2264の辺を某社18-200ズームレンズの200mm側で、CLDフィルターを付け、iso1600、f/8、15秒の露出で20枚撮り、deepskystackerした画像がこれ←です。 

 満月から4日目の3月2日の22時30分ごろの撮影です。この辺り、都心でも結構星がありました。

 四季の森あたりで撮るとカラフルにきれいな星空が写るはずなんですが、都心では今のところこれが精いっぱいです。 

 この画像も某社のズームレンズなので、絞り方が足りないのか、絞っても出まくっているのが周辺の収差で、放射状に内側が赤く外に向かって青く伸びていて、deepskystackerも中で混乱するのか、時にはこの赤と青が別の星のようにばらけて出ることもあり処置なし(・_・;)

 何とか設定をととのえ、小さい画像で何とか見られる一枚がこれなんです。 拡大すると見られたものではありません。

 ところで、この経緯台と一緒に売られている鏡筒についているスターポインター、これ全く使い物になりません。分かっていながら子供をだまして夢をつぶすようなことを言って、これでいいんだと言っています。分解すればポインターの赤いドットがふたつ光る構造になっていても、セレストロンのアメリカあたりのサポートの返事でも、ドットはひとつしか光らなくていいんだと言い切っていました。

 分解して調整してみたんですが、そのままではうっすらと光らせるところまではできるんですが、使えるまでの明るさの赤いドットにはなりませんでした。 直せないので口をそろえてこう言っているのでしょうか。 お小遣いをためて買った子供の夢をつぶさないようにしてくださいね。

 (3月3日追記)
 
スターポインターはどうせ使えないもの、では分解し、工作し直してみようと、念のため、赤LEDとワイヤを東急ハンズ(最近はこんなものが売ってるんですね。秋葉原に行かなくても)で調達して取りかかった。 

 結論的には、中のプラスチックマウントが設計不良か部品不良の見落とし、そのまま部品アセンブリに行って使えない状態のまま作り続けて、販売・サポートが苦し紛れの弁明を余儀なくされている構図のようです。 

 中のマウントを少しやすりで削って、LEDの光の向きを変えて再アセンブリ。 奥の方のドットが明るく見えるようになった。 これで手前のドットと奥のドットとでこの直線上で星を導入できそうだ。 東急ハンズの部品は使わなかった。

 参考までにこれがスターポインター。不良で手前の赤いドットしか見えなかった。 再工作後、向こう側の赤いドットも点くようになった。2013-03 star-pointer-001.jpg

 

 パンスターズ彗星が近づいてきました。期待外れの予想で、当初の期待が大きかったせいで、最近は下火です。 世の中間違いもあることなのでその準備をしておきます。 今回は新兵器ステラナビゲータv9があり、しっかりとシミュレーションができます。目標は、太陽とパンスターズと三日月のコラボです。

景観

 都会の地平に見えるビルの向こうの、富士山に連なる山の端に、沈んでいく太陽を追いかけて(太陽との離角は大体15度)、日没後の夕焼けが暗くなる中、パンスターズが輝き、新月から間もない薄い筋状の月に向かって尾を伸ばしている、こんな光景があるはずだが、何も見えないだろうな。 これが写真となると、これは画角が15度、30度、40度と大きいので、かなり広角側で撮ることになり、それぞれが点にしか写らないので、地平線の街並みと山の端から入れて、記憶に残る当日の目にした印象が出る写真になればいいと思うけど、太陽が出ている間は明るくて見えないのが残念。 すべては日没直後が勝負です。

観望日・時刻と方角

 新月とパンスターズが見えるのは3月13日と14日と15日です。太陽が半分沈む時刻は17:55、山影には17:40ぐらいか。これから40分ぐらいが観測・撮影のタイミングです。

 3月14日18:30-18:50 (13日15日もほぼ同時刻、ただし月の位置は離角3度、14度、15度と広がる)
 

pasnstars-sim.png

 ステラナビゲータv9による予想図です。15日の画角で、太陽と月の実物はこれの数分の1でほとんど点で、太陽の所が輝き、月の所は明るい星が点で見えるといったところか。この時のパンスターズの明るさ予測は期待外れで、まったく見えないんじゃないかな

観望と撮影:

 ということなので、写真にしても写らない。写ってもつまらないものかもしれないので、夕焼けの中に光る彗星の望遠撮影なんかの方が多少可能性がある。 よくて双眼鏡で見えるかもしれないらしい。

 3月後半の方が見やすいかもしれない。究極の予想:黄砂で見えない!