機材の最近のブログ記事

  夜露は風情があるのですが、星空を覗く時は結露対策が必須です。 このページは試行錯誤の結露対策の備忘録です。

 結露の原因を想定する:

1.空気と機材の接触面で機材の温度が露点温度よりも低くなるために結露する。冬なんか家の暖房はいいんですが、窓のガラスや枠ばびしょ濡れになるやつ、それです。

 湿度が低い時には、機材を外気になじます程度で済みそうですが、湿度の高い日本では、冬場以外は機材を外気に馴らす程度では結露してしまいそうです。 冬場でも結露すると、今度はそれが凍結する恐れがあります。  

2.外気自体が露点温度より低いため、霧状になったものが機材に降り注いで付着し、光学面が曇る。 星空は良く見えるんですが、よく懐中電灯のビームを空に向けると地表20-30mあたりまで白くビームがひかり、よく見ると細かな霧が浮遊している。 それが降り注いで濡れてしまう、温もりのあるベランダなんかが夜露に濡れてしまう、プラスチックの水分を吸収しないものも同じように濡れてしまう、それです。

の2点と考える。 

これらの原因を見ると、機材をほんのり温める、乾燥空気を送る(吹きかける)、フードで覆うなどが考えられそうです。 

 経験から、斜鏡面(真っ先に曇りだす)、反射主鏡鏡面、カメラレンズ(この場合はコマコレクターレンズ面)、ファインダーレンズ面 が曇ります。 その他鏡筒や赤道儀もびしょ濡れになりますが、これはお構いなしとします。 ファインダーも対策は不要とします。

斜鏡の結露対策:

 斜鏡面は筒の内向きなので、夜霧によるものよりも、特に外気に直接曝されているので、支持軸から熱伝導で伝わった冷気で斜鏡は冷えるが、鏡筒内のまだ温かい空気が対流していて結露することが多いんではないかと考えて、ほんのり温める対策をとることにした。

 斜鏡面にそれを支えている支持金具から冷気が伝わり冷えていそうなので、その支持金具にニクロム線を巻き電池で温める。 

材料: ニクロム線、ニクロム線を絶縁するチューブ、細めの線材、わに口クリップ、充電池、スイッチ付き充電池ケース、それらを束ねて入れておく袋 こんなもんかな。 大体これらは秋葉原の千石電商で調達しています。

 充電池は2本使うことで設計した。 大体2.5v電源です。 ニクロム線は全体で何オームか忘れましたが、発熱で10w以下ぐらいの事を考えたと思います。 ここでオームの法則が生かされるんですね(^_^)

 斜鏡の軸の所に絶縁チューブで覆ったニクロム線を巻き付けました。 ニクロム線との接続はカシメを使いますが、手抜きをして、コネクターの中のオスメス部分のパーツを調達してワイヤーは加締めてつなげました。ニクロムは半田が効かないので本格的な加締めでないとダメなんですが、いい加減のつなぎ方です。

 そのあとは副鏡を支えるスパイダーに這わせて筒外に導線し電池につなげました。電池部は袋に入れてその辺につるしています。細い線材なので、斜鏡で隠れる所を含め、多分撮影時でも殆ど影響ないと思います。 

 巻き付けた後の写真です。

 SE250-heater.jpg 10月湿度の高い夜、斜鏡が一面曇りました。 充電池のスイッチを入れて10分ぐらいから、軸のニクロム線に近いあたりから曇りが晴れてきました。 効果あり!

主鏡の結露対策:

 鏡筒の一番奥まったところにありますが、天頂に向けることも多いので、降り注いだ霧が、鏡筒内の対流なんかで押し上げられるとはいえ、最後には鏡面にまで降り注ぐと思われるので、霧降対策がまず必要のようだ。 それに鏡筒のお尻のあたり(反射鏡の裏面)が外気のふれているので、筒内の温度と冷やされた鏡面で結露する露点温度対策も必要と思われる。

 ほんのり温める対策として、ホカロンみたいなものを底のガラス面の辺りに張り付けたり、底を蓄熱保温マットで塞いだりすることで対応が取れそう。 貼り付けられるタイプのホカロンが一番手っ取り早いかな。 

 乾燥空気を送って露点温度を上げる方策として、乾燥空気を送り込む。 これは「鏡筒内に乾燥した空気を送り込み結露を取る方法をやってみた」で試してみた。

 2012-09 airpump 003t.jpg

 材料は、シリカゲルの購入、袋詰めのとバラのをamazonから取り寄せた。 ポンプはアメリカで購入したエアマット用のものを流用、ホース、軽めのホースとしてエアコンのドレインに使うホースがお手軽。 後ブクブクとかそれ用のニップル、ホース。

 シリカゲルの入れ物とホースの取り付けなんかまだ未完です。 ホースを手で持って空気を送っている時に、シリカゲルの容器が倒れたり、袋からこぼれ出たりして大変です。 ですが効果はありました(@_@;)。 ただこれをやってもしばらくするとまた湿度は上がるから、やはり例のブクブクで電動化した方がいいかもしれない。 今は主鏡が曇りかけたときの応急ですね。 

 ブクブクが完成しました(この項 2014.0428 追記)

2014-04 -ryair-001.jpg ニップルというやつを3個、シリカゲルまでホースを伸ばすためのニップルの継手(六角ソケット)1個、水槽用のブクブク(E~AIR6000WB)、ホース4.5mなど、 しめて2700円程度でした。

 これで結構楽になりそう (^_^)

 天頂に向けていても霧が主鏡まで届きにくいように、フードを付ける方法、段ボールかプラスチックのシートでやってみる。 

 さらに鏡筒を保温断熱マットみたいなんで覆ってしまうとどうなるか。 この時は、ほんのり温かい空気が底の冷えた反射鏡面に触れる可能性があり結露を促進してしまうので、これをする時は反射鏡の保温も合わせて必要。 

カメラレンズの結露対策:

 奥まったところだから霧降はなさそう。 主に1の原因と思われる。 本体を温めればセンサーのノイズが増しそう。 むしろ冷やしたいぐらい。 レンズの筒の辺りを温めることになるのかな。 外から直接冷えるので、クレイフォード接眼部を断熱保温することでどうか。

 EFS18-135mmレンズをAstronomikのEOS Clip CLS Filterと使いたい一念で、出っ張りが邪魔で使えなかったレンズを分解して使えるようにしてしまった。

 EOSkissX4新改造にカメラに直接取り付けられる光害カットのAstronomikのEOS Clip CLS Filterと一緒に使っている。ところがこれをカメラにはめると、EFSのレンズのカメラ側の出っ張りが不必要に出ていて、これが邪魔でマウントできない。削ってしまおうかと考えたのだけれど、分解して取り外せるものならと考え、レンズ分解を検索してみたところ、アメリカあたりのサイトで、どこを外せばいいか情報があった。

2013-04-efs18-135lens-003.jpg

 金属のフランジにネジが4本あり、これを外すと金属のフランジがめくれるようになっている。 

 ここでまだカメラとのコネクタとフィルムケーブルでつながった状態なので、細心の注意が必要。 コネクタと反対側辺りの所をそっと持ち上げてみると中がうかがえる。ここからがちと難しい。

2013-04-efs18-135lens-001.jpg

 構造を理解しておく必要がある。かの出っ張りのついたリングはコネクタとは別の部品になっていて、4本の爪で金属のフランジに噛み合わさっているので、この爪を中心方向に押し込めば外せる。 

 4本なので始末が悪い。3本なら1本を外せばあとはなんとなく外れるが、4本ではこうはいかない。調子に乗ってドライバーで押し込んで開けてみたら、爪が1本折れてしまっていた。 

 しかしお蔭で変形3本爪になったので、外からリングをひねればすぐ外せるようになった。これは便利、普段はリングを付けておいて、必要になった時に外せばよい。

2013-04-efs18-135lens-002.jpg

 今回これで目的を果たしたので、それ以上の分解は取り敢えずやめておいた方が良い。 コネクタの両脇の小さなネジは分解のためには外しても良いが、その左の所にある、ストッパーみたいなネジは外してはダメと書いてあった。 これ以上は未知の世界です。

 ところで補足ですが、EOS clip filter は優れものです。 この光害カットフィルターは、入射角が大きいとフィルター性能がなくなってしまうので、広角レンズの前にこれを使うと、中心部分はいいのですが、周辺の画像はフィルタ効果なしのものになって。恐らくリング状に紋様が入ったように映るんではないかと思います。 

 これをレンズを通ったセンサーに近いところにマウントするので、かなり均一にフィルター効果が出てくるようです。

2013-04-efs18-135lens-004.jpg

 変形3本爪のEFS18-135mmレンズは、外見は何事もなかったかの状態です。が、あまりやり過ぎると、故障時に直してもらえられなくなるので注意しましょう。

  セレストロンのLCM経緯台は極めてお手軽で、お手軽星空撮影に使えそうである。 都心のベランダでの星空撮影を想定して、ノトラッカーと対決してみた。

1.まず一番の関心ごとである設置精度と、追尾精度。

 ナノトラッカーはギアを使う場合で±2度程度以上は難しい。LCMはカメラのライブビューにグリッドを表示させて、その中心にアライメントの星を入れることで非常に精度よく設置できる。 

 肝心の追尾精度、ナノトラッカーの方は、アルデバランに照準を合わせ、ズームで200mmの望遠位置、f/20、iso=100で10分を連続で6枚計1時間の露出時間

 同じくLCMの方は、アルデバラン、リゲル、ベテルギウスでアライメントをして、アルデバランは手すりにかかりそうだったのでベテルギウスを追尾、カメラ条件は同じ。(LCMのとき雲が猛然と出てきて危ぶまれたが、拡大して見ると星は見えていた)。 結果をdeepskyastackerで合成して繋げた。 LTtest-NANO-60s.jpg

LTtest-LCM-60s.jpg

 上がナノトラッカー、下がLCM。 LCMの方を左に90度回転すると同じカメラアングルになる。 LCMの方が良い。ただ、通常使うのはせいぜい60秒以下だからどちらでもいいかな。

2.値段と搭載重量
 どちらもほとんど同じ値段だけれど、ナノトラッカーの方は設置支援のため、manfrottoの3軸ギア付雲台を買ったので、出費は2倍弱かかっている。 またどちらも2kgの機材の搭載重量制限で、お手軽価格でLCM有利。

3.お手軽携帯性
 ナノトラッカーはSLIKの三脚に付けた雲台とナノトラで重さ3.5kg。 LCMの方は専用三脚、本体、充電池8個付、カメラを付けるアリガタを入れて4.0kg。

 どちらも4時間程度以上では電池交換が必要で、ナノトラは一時中断するが、入れ替えればほぼそのまま復帰する。一方LCMの方はアライメントをやり直す必要がある。 だた、ベランダでやる場合は電源を使う手がある。 ナノトラッカーがやや優勢か。

4.設置のお手軽設置性
 ナノトラッカーは3軸のギアを回して、水平を出し方位と仰角を調整するだけで、予め計測されているので5分程度。野外ではのぞき穴に北極星を入れるだけ。 LCMは水平を出し、場所日時を入れ、3つの星でアライメントをしないと使えない。少し失敗すると日時を入れなおすところからやり直しだが、アライメント後の機動性は圧倒的に高い。見えない目標にカメラを向けるのもLCMは自動で正確にできる。ナノトラッカーは難しい。 互角。

 判定はお手軽経緯台が優勢勝ちってとこかな。 旅先での携帯用だとナノトラッカーが判定勝ち。

お手軽経緯台を使ってみた
ナノトラッカーで夜空を撮影する機材をそろえた

 某社18-200mmズームレンズが修理から戻ってきたところで、星空を撮ってから驚かないように、あらかじめその限界について調べておくことにした。 修理はズームコントロールの広角側でのガタの調整と、コマ収差がひどいので可能であれば調整できないかという依頼で、ガタの方はしっかりと治った。コマの方は「認められず」と言うことで調整不可で戻った。

 木星を写して調べてみた。

 初めは光軸、焦点をずらして「同心円を見なさい」とあるので、中心に写して焦点をずらせてみた。望遠側は同心円で合格。しかし広角側でずれているのが見えた。画像は等倍にトリミング。 2013-02-18-250-18mside-008tr.JPG

 コマ収差は木星を4隅に移してその画像を等倍にトリミングしまたもです。

 下は18mm広角側の2枚です。

 2013-02-8-250-18msideUL-003tr.JPG  左上   2013-02-18-250-18msideUR-001tr.JPG  右上

下は200mmズーム側の4隅です。

 2013-02-18-250-200msideUL-011tr.JPG 左上    2013-02-18-250-200msideUR-010tr.JPG  右上

 2013-02-18-250-200msideLL-013tr.JPG 左下    2013-02-18-250-200msideLR-014tr.JPG  右下

  このレンズは広角側と望遠側で逆向きに尾が伸びるようです。 このレンズ、真ん中あたりで使うといいのかな。あるいは買ったばかりだけど、捨てちゃった方がいいのかな。

  

 

 

 

 

 まず、一眼レフ新改造デビュー

 7日、誠報社改めスターショップからEOSKissX4の「新改造」が戻ってきました。C-MOSセンサーの手前の光学フィルターをHα線まで通すものに替える改造で、電離した水素原子が発する赤く見える光を標準フィルターより10倍の感度が上がるようです。

 この改造で失われる機能はホワイトバランス。完全にマニュアルタイプになり、カメラに備わっている太陽光とか日蔭とかあるいはそれらを自動選択するホワイトバランス機能が使えなくなりました。改造と同時にマニュアルホワイトバランスが設定されて戻りました。これ、素人がやってもなかなかうまくいかないんですが、比較的広範囲の光の具合で使えそうですが、太陽光、日蔭などの選択ができないので手動で調整しなきゃいけないんですが、カメラの「WB補正/BKT設定」で微調整してもなかなかうまくいきませんでした。天体カメラにするのであきらめています。

 夜空を写しても、空が色づいて写ったり、適度に灰色のダークに映ったりで、なかなか定まりません。RAWで撮って処理することに徹しなければならないようです。

 

 ということで、星野らしきもの2題。「新改造とEF40mmF2.8STMパンケーキレンズ、AstronomikのEOS Clip CLS Filter、ナノトラッカー、それにSLIKの三脚とManfrottoの3軸ギア付雲台の計6点セット。タイマーシャッターを入れて超都心星空撮影7つ道具と言うべきか。

 一枚目はリオン座のベテルギウスから天空の方へふたご座の間、この日11日は薄雲もなく寒波で強風、月明かりも無いと撮影日より。2月8日のこともあるので、薄雲に反射する都会の光を嫌って、「新改造」にCLSフィルターを挟んで、40mmパンケーキレンズで撮ってみた。この日の標準感光は、f=2.8、iso=1600、露出5秒、30枚撮影とした。f=2.8、iso=1600に都心では5秒が限界。10秒でやれないことは無いが、、DeepSkyStackerの結果がこれです。

ori-gem1-40mcls0211ftbidstc.jpg

 フラットはうまくいったようですが、左下に都心の光がなんとなく入っている。よく見ると中央から左の方、左端から1/5あたりに星の固まりの周りが赤く染まている。他にもないかなとよく見ると、この小さい画像ではわからないが、中央より下の右の方に小さな丸く赤く染まったところがあるではないか(*^。^*) これは何だ?

 調べてみると左の方が世にいう「バラ星雲」であった。右の方がステラナビゲータV9から、NGC2175、2174モンキー星雲としておきましょうか。バラの方は確かです。超都心でこれらの痕跡が映ったのは「新改造」の成果か(^_^;)

 後日13日、250mmレンズで再挑戦してみたが、CLSフィルターなしで映し出すことはできなかった。Hαを通すCLSで可視光赤をカットする効果が絶大なのか?

 二枚目は、オリオン座。これは違いをアップするため1/2にトリミングしてある。

orion-2011-ftbidstctr-1.jpg

  赤い色がクリアに出ている。で、これ、三ツ星の左の星の上、実は影が出てるんです。これも「新改造」の成果のようだ。これは後日13日250mmでの撮影でも確認できました。

 13日に250mm、CLS無しでM42鳳凰の所を撮ったのがこれです。比較のためトリミングして拡大してます。

m42-250mx4-12ftbidstctr-21.jpg

 除夜の鐘をききながら撮った時よりも赤い羽根がひときわ大きく広げて見え、さらに上の方のNGC1973の色づきが認められるようになりました。中の大文字みたいなのはさすがにわかりません。私的には無改造の方が、赤一色になった鳳凰より好きです。

 「新改造」雑感
 オリオン大星雲なんかはやたら赤くなり、無改造より美観を損ねる。多分バラ星雲や、普通には見られない星雲なんかは大いに使うべし。
 淡いHα星雲はカメラに光が届いても、都心の光の反射で赤い可視光の中に埋没してしまうみたいで、CLSフィルターを併用する方がいいのかもしれない。光フィルターのスペクトラムを合わせてみると、長めの波長のところはHαの辺りだけ通す感じになるようだ。 新改造とこのフィルターの組み合わせは、Hαを含む640nぐらいから670nぐらいまでをフルに標準カメラより10倍ぐらい通すので、超都心の星空撮影にかなりいいんではないかと思う。

 

 備忘録:

NGC2237 バラ星雲 散光星雲 いっかくじゅう座(オリオン座の左隣り) 散開星団NGC2244の周りに広がる。

NGC1973 オリオン大星雲のすぐ三ツ星側にある散光星雲 (reflection nebula 反射星雲)。細かくはNGC1973、1975、1977からなる。